ドナルド・トランプ前米大統領は、中国製電気自動車(EV)に対する関税を現行の100%から200%に引き上げる提案を発表した。この措置は、米国の製造業を保護し、国家安全保障上のリスクに対処することを目的としている。
提案の詳細と背景
トランプ氏は6日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で声明を発表。「中国のEVが米国市場を席巻するのを防ぐため、関税を200%に引き上げる」と述べた。同氏は「米国の自動車産業は国家安全保障の根幹であり、中国の補助金を受けたEVが不当に競争優位に立つのを許してはならない」と強調した。
現行の関税率は、バイデン政権が2024年5月に100%に引き上げたばかり。さらに、中国製EVには25%の追加関税が課されており、実質的な関税率は125%となっている。トランプ氏の提案が実現すれば、合計225%の関税が課される計算になる。
政治的・経済的影響
この提案は、2024年大統領選挙を控えた政治的な動きと見られる。トランプ氏は、中国との貿易戦争を自らの主要な政策成果としてアピールしており、EV関税の引き上げは、米国の中西部など自動車産業が集積する州での支持獲得を狙ったものだ。
一方、業界からは懸念の声も上がっている。米国自動車政策協議会(AAPC)のマット・ブラント代表は「関税引き上げは、消費者への価格転嫁やサプライチェーンの混乱を招く可能性がある」と指摘。また、中国製EVに使用されるバッテリー部品などにも影響が及ぶと警告した。
バイデン政権の対応
バイデン政権は、トランプ氏の提案に対して直接的なコメントを避けつつも、自らのEV政策を擁護。ホワイトハウスの広報担当者は「バイデン大統領は、中国の不公正な貿易慣行に対抗するため、すでに歴史的な関税措置を取っている。今後も米国の労働者と企業を守るために必要な措置を講じる」と述べた。
専門家は、今回の提案が実現する可能性について、議会の承認が必要となるため不透明だと指摘。また、世界貿易機関(WTO)のルールに抵触する可能性もあり、国際的な貿易摩擦を引き起こすリスクがある。



