トヨタ、新型プリウスでPHEV戦略を強化 EV市場の逆風を受け
トヨタ、新型プリウスでPHEV戦略を強化

トヨタ自動車は、2023年1月に発売した5代目となる新型「プリウス」において、プラグインハイブリッド車(PHEV)の戦略を一段と強化している。同社はこれまで、ハイブリッド車(HEV)で世界をリードしてきたが、PHEVはその延長線上にある重要な電動化戦略の柱と位置づけている。

新型プリウスのPHEV性能と市場戦略

新型プリウスのPHEVモデルは、2.0リッターエンジンとモーターを組み合わせ、システム最高出力を164kW(223馬力)に向上。EV走行距離はWLTCモードで約87km(旧型比で約1.5倍)に伸び、日常使いでの電動走行がより現実的になった。また、バッテリー容量は13.6kWhから13.6kWh(改良型)に拡大され、充電時間も短縮されている。

トヨタの広報担当者は「新型プリウスは、PHEVの利便性とスポーティな走りを両立させた。特に、EVモードでの静粛性と加速性能は、従来のハイブリッド車とは一線を画す」と述べている。価格は320万〜390万円(PHEVモデル)と、競合する他社のPHEVやEVと比較しても競争力のある設定だ。

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PHEV需要の拡大とEV市場の逆風

世界的に見ると、EVの販売減速が報じられる中、PHEVへの需要が急速に高まっている。2023年の世界のPHEV販売台数は前年比約50%増の約400万台に達し、特に中国市場での伸びが顕著だ。日本でも、充電インフラの整備が遅れる中で、PHEVはガソリン車とEVの中間的な存在として消費者に受け入れられている。

トヨタは2026年までにPHEVのラインアップを現在の5車種から10車種以上に倍増させる計画だ。また、次世代PHEV用のバッテリーとして、全固体電池の実用化も視野に入れている。全固体電池は2027〜2028年の搭載を目指して開発が進められており、PHEVのEV走行距離をさらに延ばす可能性がある。

競合他社の動きとトヨタの優位性

競合の日産自動車は「e-POWER」シリーズでPHEV市場に参入しているが、エンジンは発電専用であり、トヨタのPHEVとは方式が異なる。ホンダは「e:PHEV」を展開するが、販売台数は限定的だ。一方、中国のBYDはPHEV「DM-i」シリーズで世界販売を拡大しており、2023年には約90万台を販売。トヨタも中国市場ではBYDとの競争が激化している。

トヨタのPHEV戦略の強みは、1997年の初代プリウス以来培ってきたハイブリッド技術の蓄積にある。モーターとエンジンの制御技術、バッテリー管理システムは、他社に先んじている。また、トヨタはPHEVを単なる過渡的な技術と見なさず、EVと並行して長期的に販売する方針だ。

今後の課題と展望

PHEVの普及には、充電インフラの整備が不可欠だ。トヨタは日本国内で急速充電器の設置を促進するため、自治体や企業との連携を強化している。また、PHEVの燃費性能を最大限に引き出すには、ユーザーが日常的に充電を行う習慣が必要であり、その啓発活動も進めている。

さらに、トヨタは2025年までにPHEVを含む電動車の販売比率を50%に引き上げる目標を掲げている。新型プリウスの成功は、その達成に向けた重要な試金石となる。トヨタの豊田章男会長は「PHEVは、カーボンニュートラルへの現実的な選択肢の一つだ。多様なニーズに応えるため、HEV、PHEV、EV、水素エンジン車など、全方位の戦略を進める」と述べている。

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