トヨタ、EV戦略を抜本的に見直し
トヨタ自動車は、電気自動車(EV)の開発から生産までを一貫して統括する新組織「BEVファクトリー」を2024年5月に設立した。これまで複数の部門に分散していたEV関連の機能を集約し、意思決定の迅速化と開発効率の向上を図る。
新組織は、トヨタのEV専用プラットフォーム「e-TNGA」をベースに、次世代電池を搭載した新型EVの開発を主導する。第1弾として、2026年にレクサスブランドを含む複数の新型EVを投入する計画だ。これらの車両には、航続距離を現在の2倍に延ばす次世代電池「バイポーラ型ニッケル水素電池」や「全固体電池」が採用される見込み。
次世代電池で航続距離とコストを革新
トヨタは、次世代電池の開発で大きく前進している。特に全固体電池は、2027年から2028年ごろの実用化を目指し、2024年にはプロトタイプの生産を開始する予定だ。全固体電池は、従来のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が高く、急速充電が可能で、航続距離は約1200kmに達するという。
また、バイポーラ型ニッケル水素電池は、現行のハイブリッド車(HV)向けの技術を発展させたもので、コストを抑えながら高い出力を実現する。トヨタはこの電池を、2026年投入予定の新型EVに搭載し、エントリーモデルとして展開する考えだ。
2030年EV販売350万台目標の達成へ
トヨタは、2030年の世界販売目標として、EVと燃料電池車(FCV)を合わせて350万台を掲げている。この目標達成には、新組織「BEVファクトリー」の役割が極めて重要だ。同社は、2026年までに10車種以上の新型EVを投入し、年間150万台の生産体制を構築する計画。
トヨタの佐藤恒治社長は、「BEVファクトリーの設立により、EV開発のスピードを格段に上げる。トヨタらしい堅実なアプローチで、お客様に安心して使っていただけるEVを提供していく」と述べている。
競争激化するEV市場での生き残り策
世界のEV市場は、テスラや中国のBYDなど新興メーカーが先行する中、トヨタはHVで培った技術を生かし、差別化を図る。同社は、EVだけでなく、HVやプラグインハイブリッド車(PHV)も併せて開発するマルチパスウェイ戦略を堅持している。
しかし、環境規制の強化や消費者のEVシフトを受け、トヨタもEVへの本格的な投資を加速させている。2024年には、EV関連の研究開発費として過去最高の1兆円超を計上。さらに、日米中の主要市場でEV生産拠点の拡充を進めている。
新組織のトップには、これまでHVの開発を率いてきた豊島浩二氏が就任。豊島氏は、「BEVファクトリーは、単なる組織再編ではなく、トヨタのEVに対する考え方を根本から変えるものだ。スピード感を持って、お客様に喜ばれるEVを世に送り出したい」と意気込みを語る。



