トヨタ自動車と日産自動車は、電気自動車(EV)に搭載されるリチウムイオン電池のリサイクル事業で協業する方向で最終調整に入った。2026年までの実用化を目指し、使用済み電池からレアメタルなどを効率的に回収する技術を共同開発する。両社がEV電池のリサイクルで手を組むのは初めてとなる。
協業の背景:資源の安定確保とコスト削減
EVの普及拡大に伴い、電池に使われるリチウム、コバルト、ニッケルなどの需要が急増している。これらの資源は特定国に偏在しており、価格変動や供給途絶のリスクが高まっている。両社はリサイクル技術の確立により、資源の安定調達とコスト低減を図る。また、欧州連合(EU)が2031年までに使用済み電池のリサイクル率を70%以上とする規制を導入するなど、環境規制の強化も追い風となる。
具体的な協業内容と技術開発
両社は、使用済み電池から高純度のリチウムやコバルトを回収する技術の共同研究を進める。具体的には、電池を粉砕してから化学処理する「湿式製錬」と、熱処理する「乾式製錬」のハイブリッド方式を検討。回収率を90%以上に高めることを目標とする。また、リサイクル工程で発生する二酸化炭素(CO2)排出量を、従来の鉱山採掘に比べて50%以上削減できる見込み。
業界への影響と今後の展望
今回の協業は、自動車業界におけるリサイクル分野での連携の先例となる。トヨタと日産はこれまでEV販売で競合してきたが、リサイクルでは協力することで、業界全体のサプライチェーン強化につながると期待される。両社はリサイクル事業を2026年に開始し、2030年までに年間10万台分の電池処理能力を目指す。また、他の自動車メーカーや電池メーカーとの連携も視野に入れている。
専門家の見解
「自動車メーカーがリサイクルで協業するのは世界的にも珍しい。資源の安定確保と環境負荷低減の両立が求められる中、非常に意義深い取り組みだ」と、産業技術総合研究所の田中研究グループ長は評価する。一方で、「リサイクル技術の実用化にはまだコスト面での課題が残る。政府の支援も重要になる」と指摘する。



