トヨタ自動車と日産自動車の電気自動車(EV)戦略が、今後の自動車業界の行方を左右する。両社は2025年までに相次いで新型EVを投入する計画で、その戦略には明確な違いが見られる。
トヨタのEV戦略
トヨタは2025年までに15車種のEVをグローバルに投入する方針だ。同社はこれまでハイブリッド車(HV)で先行してきたが、EV分野では後発組とされてきた。しかし、2021年12月に発表した2030年までのEV販売目標350万台という野心的な計画を掲げ、巻き返しを図る。
トヨタの強みは、独自の固体電池技術にある。2020年代後半の実用化を目指し、航続距離500km以上を実現する見込みだ。また、トヨタは複数のパワートレインを併用する「マルチパスウェイ戦略」を採用し、HVやプラグインハイブリッド車(PHV)も同時に開発する。
日産のEV戦略
一方、日産はEVの先駆者として知られ、2010年に発売したリーフは世界累計販売50万台を突破した。日産は2025年までに20車種のEVを投入する計画で、うち15車種は日産ブランド、5車種はインフィニティブランドとなる。
日産は独自のe-POWER技術をEVに応用し、シリーズハイブリッド方式を発展させる。また、2028年までに全固体電池の実用化を目指し、コスト削減と航続距離の延長を図る。日産の目標は、2030年までにEV販売比率を50%に引き上げることだ。
両社の戦略の違い
トヨタと日産の戦略の最大の違いは、アプローチの速度と幅にある。トヨタはHV技術を活かしながら段階的にEVシフトを進めるのに対し、日産はEVに特化した積極投資を続ける。日産の内田誠社長は「EVはもはやニッチではなく、主力商品になる」と述べ、EVへの集中を強調する。
また、トヨタは水素燃料電池車(FCV)も並行して開発するなど、技術の多様性を重視する。一方、日産はEVとe-POWERにリソースを集中し、バッテリー生産の内製化にも取り組む。
市場への影響
両社のEV戦略は、日本の自動車産業全体に影響を与える。トヨタの規模とブランド力は、EV市場の拡大に寄与する一方、日産の先行者利益は競争力を維持する。2025年までに投入される新型EVの成否が、両社の将来を左右する。
業界アナリストは「トヨタと日産の戦略は、それぞれの企業文化と技術基盤を反映している。どちらが成功するかは、消費者の受容と充電インフラの整備次第だ」と分析する。



