ソニーグループは、一部メディアが報じた電気自動車(EV)事業からの撤退説を強く否定した。同社は中国市場におけるEV需要の減速を受け、戦略の見直しを進めているが、事業そのものから撤退する意向は一切ないと公式声明で明らかにした。
ソニー、EV事業継続を強調
ソニーは2022年1月、米国ラスベガスで開催されたCESでEVブランド「Afeela(アフィーラ)」を発表。ホンダとの合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ」を通じて、2025年に北米市場で先行発売し、その後日本や欧州に展開する計画を掲げていた。しかし、中国市場ではBYDや蔚来汽車(NIO)など地元メーカーの台頭により競争が激化。販売計画の見直しを迫られていた。
こうした中、一部メディアが「ソニーがEV事業から撤退する可能性がある」と報じた。これに対し、ソニーの広報担当者は「全くの誤報だ。当社はEV事業を重要な成長分野と位置づけており、撤退は考えていない」とコメント。具体的な計画については「現在、中国市場を含むグローバル戦略を精査している段階で、詳細は決定次第公表する」と述べた。
中国市場での戦略転換
ソニーは中国市場向けに、より現地ニーズに合わせたEVの開発を進めている。具体的には、中国のテクノロジー企業との協業強化や、価格帯の見直しを検討中だ。また、2026年には日産自動車と共同開発した新型EVを投入する計画があるとされ、ソニーの技術力を生かしたコネクティッドカー機能の搭載が期待されている。
業界アナリストは「ソニーはエンターテインメントやセンサー技術で強みを持つ。EVを『モビリティエンターテインメント』として位置づける戦略は、差別化につながる可能性がある」と指摘。一方で、中国市場では価格競争が激しく、収益化には時間がかかるとの見方もある。
今後の展望
ソニーは2023年度の連結売上高が過去最高を更新するなど、好調な業績を背景にEV事業への投資を継続する方針だ。ただし、中国市場での競争激化を受け、当初計画よりも現実的なアプローチを取るとみられる。ソニー・ホンダモビリティの水野泰秀社長は「中国市場は世界最大のEV市場だが、変化が速い。われわれは柔軟に対応する」と述べている。
ソニーのEV事業撤退説は一掃されたものの、中国市場での成功には、現地パートナーとの連携や独自の価値提案が鍵を握る。今後の具体的な戦略発表が注目される。



