EVシフト加速で注目のリチウムイオン電池、次世代技術の実用化へ前進
EVシフト加速で次世代リチウムイオン電池実用化へ前進

電気自動車(EV)の普及を加速させる鍵として、リチウムイオン電池の次世代技術が現実味を帯びてきた。従来の液系電解質を固体に置き換えた「全固体電池」をはじめ、エネルギー密度や安全性を大幅に向上させる新技術の開発競争が世界的に激化している。各社は2030年までの実用化を目標に掲げ、量産技術の確立に向けた取り組みを加速させている。

全固体電池の実用化に向けた動き

全固体電池は、従来のリチウムイオン電池と比べてエネルギー密度が2~3倍に向上し、充電時間の短縮や発火リスクの低減が期待される。トヨタ自動車は2020年代半ばに全固体電池を搭載したEVの販売を計画しており、パナソニックや村田製作所などの部品メーカーも開発を進めている。一方、韓国のサムスンSDIやLGエナジーソリューションも量産技術の確立を急いでいる。

日本勢の強みと課題

日本はリチウムイオン電池の基礎技術で先行してきたが、量産面では中国や韓国に追い抜かれている。経済産業省の資料によると、2021年の世界シェアは中国が約60%、韓国が約20%、日本は約10%にとどまる。しかし、全固体電池の特許出願数では日本が世界最多を誇り、技術力では依然として優位に立つ。課題はコスト低減と量産技術の確立であり、官民連携で取り組む必要がある。

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次世代電池の市場規模

富士経済の予測によると、全固体電池の世界市場は2030年に約2兆円、2035年には約10兆円に拡大する見込みだ。また、リチウムイオン電池全体の市場は2030年に約30兆円に達するとされ、次世代技術の成否がEV市場の成長を左右する。

環境規制と投資の加速

欧州連合(EU)が2035年までにガソリン車の新車販売を事実上禁止する方針を示すなど、世界的な環境規制の強化がEVシフトを後押ししている。これに伴い、電池メーカーへの投資も活発化。米テスラは自社製電池「4680セル」の量産を開始し、中国のCATL(寧徳時代)やBYDも生産能力を拡大している。

日本の電池メーカーも巻き返しを図る。パナソニックは2023年度にEV向け電池の生産能力を2020年度比で4倍に増強する計画だ。また、ENEOSや三菱ケミカルなど異業種からの参入も相次いでいる。

産学連携と人材育成

次世代電池の開発には基礎研究と応用研究の両面での産学連携が不可欠だ。東京工業大学や京都大学などの研究機関が企業と共同で全固体電池の材料開発を進めており、政府も「グリーンイノベーション基金」を通じて最大2兆円の支援を表明している。一方で、電池分野の人材不足が深刻化しており、教育機関での専門コース設置や企業内での技術継承が急務となっている。

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