中国自動車市場において、日本車メーカーの存在感が急速に低下している。2024年の日本車ブランドの市場シェアは過去最低となる12%にまで落ち込み、ピーク時の約25%から半減した。この背景には、中国政府が強力に推進するEV(電気自動車)シフトと、それに乗じた中国地場メーカーの台頭がある。
中国EVメーカーの急成長と日本車の苦境
中国市場では、BYD(比亜迪)を筆頭に、NIO(蔚来汽車)、XPeng(小鵬汽車)などのEVメーカーが急速にシェアを拡大している。特にBYDは、2024年に年間販売台数で300万台を突破し、中国市場でトップに立った。一方、トヨタ自動車の中国販売台数は前年比で約10%減少し、ホンダは約20%減、日産自動車は約30%減と、日本メーカーは軒並み苦戦している。
「中国市場での日本車の競争力が低下しているのは明らかだ。特にEV領域での商品力の差が大きい」と、自動車業界アナリストの田中氏は指摘する。日本メーカーはこれまで、ハイブリッド車(HV)で優位に立ってきたが、中国政府のEV補助金政策や充電インフラ整備により、EV需要が急拡大。日本メーカーのEV投入の遅れが響いている。
日本メーカーのEV戦略の遅れと巻き返し策
トヨタは、2026年までに次世代EVを投入する計画を発表したが、現時点でのEVラインアップは限定的だ。ホンダは、2025年までに中国市場で10車種以上のEVを投入する目標を掲げているが、現地メーカーとの競争は激しい。日産は、中国市場向けにEVを現地生産する計画を進めているが、シェア回復には時間がかかるとみられる。
「日本メーカーは、中国市場の変化に対応するために、現地パートナーとの協業や、EV専用プラットフォームの開発を加速する必要がある」と、田中氏は語る。実際、トヨタは中国のEVメーカーであるCATL(寧徳時代)やBYDとバッテリー調達で提携し、コスト競争力の向上を図っている。
中国市場のEVシェア拡大と世界への影響
中国市場では、新車販売に占めるEVの割合が2024年に約40%に達し、世界最大のEV市場となっている。この流れは、欧州や北米市場にも波及しており、日本メーカーは世界的なEVシフトへの対応を迫られている。特に、欧州連合(EU)が2035年までにガソリン車の新車販売を禁止する方針を示しており、日本メーカーは欧州市場でもEV戦略の強化が急務となっている。
「日本メーカーが生き残るためには、EVだけでなく、自動運転技術やソフトウェア分野での革新が不可欠だ」と、田中氏は強調する。中国メーカーは、EVの価格競争力だけでなく、コネクテッド技術や自動運転機能でも優位に立っており、日本メーカーはこれらの分野でのキャッチアップが求められている。
今後の展望と日本メーカーの課題
日本メーカーは、中国市場でのシェア低下を食い止めるため、2025年以降にEVの投入を本格化させる計画だ。しかし、中国メーカーの技術革新スピードは速く、価格競争も激化している。日本メーカーが再び競争力を取り戻すには、従来のビジネスモデルを根本から見直す必要がある。
また、中国政府は、EVだけでなく、燃料電池車(FCV)や自動運転技術の開発も推進しており、日本メーカーはこれらの分野でも中国メーカーとの競争にさらされている。トヨタは、水素エンジン車の開発を進めているが、FCV市場の立ち上がりはEVに比べて遅れている。
「日本メーカーは、中国市場で巻き返すために、現地のニーズに合った製品を迅速に投入する柔軟性が求められる」と、田中氏は指摘する。日本メーカーの中国市場での苦戦は、世界的なEVシフトの加速を象徴しており、今後の動向が注目される。



