日本における電気自動車(EV)の普及が、充電インフラの不足により停滞している。政府は2030年までに充電器を15万基設置する目標を掲げているが、2023年時点での設置数は3万基に満たない。
現状の課題
経済産業省の調査によると、2023年末の公共用充電器は約2万9000基。これは政府目標の約5分の1に過ぎず、特に急速充電器の不足が深刻だ。日本自動車工業会の試算では、EV普及には少なくとも10万基の充電器が必要とされている。
充電器の設置が進まない理由として、設置コストの高さや収益性の低さが挙げられる。特に地方では需要が限られるため、民間事業者の参入が進んでいない。
政府の対策
政府は2022年に策定した「充電インフラ整備計画」で、2030年までに公共用と家庭用を合わせて15万基の充電器設置を目標に掲げた。補助金制度を拡充し、2023年度予算では約1000億円を計上。高速道路のサービスエリアや商業施設への設置を促進している。
また、2024年4月には改正水素・燃料電池戦略協議会で、EV充電器の設置義務化を検討する方針が示された。新築の集合住宅や商業ビルへの設置を義務付ける案が浮上している。
海外との比較
国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2023年の世界の公共用充電器は約270万基。中国が約180万基と最多で、欧州は約60万基、米国は約15万基。日本はこの中で大きく後れを取っている。
ノルウェーでは人口1000人当たりの充電器数が約4基と世界最多で、EV販売比率も80%を超える。日本は同0.3基と低水準で、EV販売比率も約2%にとどまる。
今後の展望
専門家は、充電インフラの整備がEV普及の鍵を握ると指摘する。東京大学の山本教授は「充電の不便さが消費者の購入意欲を削いでいる。2030年目標達成には、官民連携で年間1万基以上のペースで設置を進める必要がある」と述べている。
自動車メーカーも対応を強化。トヨタ自動車は2025年までに全国のディーラーに急速充電器を設置する計画を発表。日産自動車は2026年までに充電器の運用会社と提携し、ネットワークを拡大する方針だ。



