国際エネルギー機関(IEA)は2024年10月に公表した最新の年次報告書「世界エネルギー見通し2024」の中で、電気自動車(EV)の世界販売台数が2025年には新車販売全体の約40%に達するという予測を発表した。これは、2023年の18%からわずか2年で倍以上に増加する計算となる。報告書は、特に中国市場でのEV普及が世界全体を牽引していると指摘している。
中国が世界のEV市場をリード
IEAの試算によれば、2023年の世界のEV販売台数は約1400万台で、そのうち中国が約900万台を占めた。中国では新車販売の約35%がEVであり、政府の補助金政策や充電インフラの急速な整備が需要を後押ししている。一方、欧州連合(EU)では2025年に新車のCO2排出規制が一段と厳格化される予定で、これによりEV販売が加速するとみられる。EU域内では2023年のEV販売シェアは約23%だったが、2025年には30%を超える可能性がある。
米国でも普及が加速、ただし課題も
米国では、インフレ抑制法(IRA)に基づくEV購入税額控除が効果を発揮し、2023年のEV販売シェアは約9%に上昇した。IEAは、2025年には米国でもシェアが20%近くに達すると予測する。しかし、充電インフラの整備遅れや、一部州での政治的な反対意見が普及の足かせとなるリスクも指摘されている。
ガソリン車需要は2025年にピークアウトか
IEAの報告書は、ガソリン車やディーゼル車などの内燃機関車(ICE)の需要が2025年ごろにピークを迎え、その後減少に転じるとの見解を示した。これは、各国の排出規制強化や消費者の環境意識の高まりが背景にある。IEAのファティ・ビロル事務局長は「世界の自動車産業は歴史的な転換点にある。EVへの移行は、気候変動対策の切り札となる」とコメントしている。
EV普及で石油需要は減少へ
EVの急速な普及は、石油需要にも大きな影響を与える。IEAは、2030年までに世界の石油需要のうち、輸送部門が占める割合が現在の約60%から50%以下に低下すると予測する。これにより、石油市場の需給バランスが緩み、価格の下落圧力が強まる可能性がある。一方で、電気自動車の普及に伴い、電力需要は増加するため、再生可能エネルギーの導入拡大が不可欠となる。
バッテリー供給と原材料確保が課題
EVの生産拡大には、リチウムイオン電池の安定供給が不可欠だ。IEAは、2025年までに世界のバッテリー生産能力が現在の約2倍に拡大すると見込むが、リチウムやコバルトなどの原材料価格の高騰や地政学的リスクが課題となっている。また、バッテリーのリサイクル技術の開発も急務である。
日本はEV普及で遅れ、ハイブリッドに依存
日本では、2023年のEV販売シェアは約3%と、主要国の中で最も低い水準にとどまっている。IEAは、日本政府が2035年までに新車販売をすべて電動車(EV、プラグインハイブリッド車、燃料電池車)とする目標を掲げているものの、現状のペースでは達成が難しいと指摘する。日本の自動車メーカーはハイブリッド車(HV)に強みを持つが、世界のEVシフトに対応するためには、EVへの投資を加速する必要がある。
IEAの報告書は、世界のEV市場が2025年に向けて飛躍的に成長する一方で、地域ごとの格差やインフラ整備、原材料調達などの課題も浮き彫りにしている。各国の政策や企業の戦略が、今後のEV普及の行方を左右することになる。



