電気自動車(EV)の販売失速を受け、水素燃料電池車(FCV)に再び注目が集まっている。トヨタ自動車と韓国の現代自動車は、新型FCVの投入や商用車市場の開拓など、水素戦略を加速させている。
EV販売の減速とFCV復活の兆し
世界的なEV販売の減速は、2024年初頭から顕著になっている。国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2023年の世界のEV販売台数は前年比35%増の約1400万台だったが、2024年第1四半期の伸び率は約25%に低下した。この減速の背景には、充電インフラの不足やバッテリー価格の高止まり、補助金の縮小などがある。こうした状況下で、航続距離が長く、充填時間が短い水素燃料電池車が再評価されている。
日本政府も水素基本戦略を改定し、2030年までの水素供給量目標を従来の300万トンから500万トンに引き上げた。経済産業省は、水素関連の研究開発とインフラ整備に約2兆円を投じる方針を示している。
トヨタと現代の新型FCV投入
トヨタ自動車は、2024年内に新型FCV「ミライ」の次世代モデルを発売する計画だ。トヨタの水素エンジン開発責任者は、「水素エンジンはカーボンニュートラル燃料として有望であり、商用車や発電用途でも活用できる」と述べている。同社はまた、燃料電池システムを外部企業に供給する「水素ファクトリー構想」を推進し、定置型発電や鉄道車両などへの展開を目指す。
現代自動車は、2025年に新型FCV「ネッソ」の後継モデルを投入する予定である。現代自動車の水素事業担当副社長は、「水素はEVと並ぶ未来のモビリティの柱であり、商用車や建設機械などへの適用を拡大する」と語る。同社は2028年までに水素関連事業で年間5兆ウォン(約5500億円)の売上を目標に掲げている。
商用車や定置型発電への拡大
FCVの普及は、乗用車よりも商用車や定置型発電で先行している。トヨタは、日野自動車と共同開発した大型水素燃料電池トラックを2025年までに量産化する計画だ。また、三菱重工業や岩谷産業などと連携し、水素発電システムの実証実験を進めている。
現代自動車は、スイスの水素エンジン大手FEVと提携し、水素燃料電池を搭載した商用車の開発を加速している。同社はまた、韓国国内で水素ステーションの整備を進め、2025年までに200カ所の設置を目指す。
水素インフラの課題と政府支援
FCV普及の最大の課題は、水素ステーションの整備と水素価格の低減である。日本では現在、約170カ所の水素ステーションが稼働するが、2030年までに1000カ所への拡大が目標とされている。政府は、水素ステーションの建設費の半額を補助する制度を導入し、事業者の負担軽減を図る。
水素価格は現在、1キログラムあたり約1000円で、ガソリン換算でリッター約300円に相当する。政府は、2030年までに水素価格を1キログラムあたり300円に引き下げる目標を掲げている。この実現には、水素の大量生産技術の確立とサプライチェーンの効率化が必要となる。



