EVシフト加速でガソリン車部品メーカーが岐路に、生き残りへ事業転換急ぐ
EVシフトでガソリン車部品メーカーが岐路、事業転換急ぐ

ガソリン車部品メーカーに迫る構造転換

世界的なEVシフトの加速に伴い、ガソリン車向け部品を主力としてきた自動車部品メーカーが岐路に立たされている。エンジンやトランスミッションなど内燃機関関連部品の需要は減少傾向にあり、各社は生き残りをかけて事業ポートフォリオの転換を急いでいる。

例えば、エンジンバルブで世界トップシェアを誇るリケンは、2030年までにEV・水素関連の売上比率を現在の約10%から50%以上に引き上げる目標を掲げる。同社は水素エンジン向け部品やEV用モーターコアの生産に乗り出しており、既存技術の応用で新市場を開拓する方針だ。

エンジン部品大手が水素・EVに活路

ピストンリング大手の日本ピストンリングも同様に、EV向けモーター部品や水素関連製品の開発を加速。同社の担当者は「ガソリン車の需要が2030年以降に急減すると見込み、新規事業の育成が急務だ」と語る。具体的には、モーターの絶縁部品や水素ステーション向けバルブなどを手がける。

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また、燃料噴射装置のデンソーは、EV向けの熱マネジメントシステムやパワー半導体に注力。同社は「内燃機関関連の売上は2025年をピークに減少する」と予測し、電動化関連投資を2025年度までに1兆円規模に拡大する計画だ。

中小部品メーカーは廃業リスクも

一方、大手に比べて資金力や技術力で劣る中小部品メーカーは、より深刻な状況に直面している。ある中小部品メーカーの社長は「主要取引先からEVシフトに伴う部品調達量の削減を通告され、廃業も視野に入れている」と打ち明ける。業界団体の調査によると、ガソリン車部品を主力とする中小企業の約3割が、2030年までに事業継続が困難になる可能性があるという。

こうした状況を受け、経済産業省は2023年に「自動車部品サプライヤー事業転換支援プログラム」を開始。中小企業向けに技術開発や販路開拓の補助金を拡充し、EV・水素関連への転換を後押ししている。補助金の総額は500億円規模で、2024年度までに約200社の支援を予定している。

自動車産業の雇用にも影響

ガソリン車部品の生産縮小は雇用にも影を落とす。自動車部品メーカーの国内雇用は約70万人とされるが、EVシフトにより2030年までに最大10万人の雇用が失われるとの試算もある。リケンは「既存工場の設備を転用し、社員の再教育で雇用維持を図る」方針だが、すべての企業が同じ対応を取れるわけではない。

自動車産業のサプライチェーンは長年、ガソリン車を前提に構築されてきた。EVシフトは単なる技術の変化にとどまらず、部品メーカーの存続や雇用、地域経済にまで波及する大きな構造変革をもたらしている。各社の事業転換の成否が、日本のものづくり産業の未来を左右するといっても過言ではない。

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