電気自動車(EV)への移行が加速する中、日本自動車メーカーは中国製部品への依存度が高まっており、調達リスクが顕在化している。経済産業省の調査によれば、EV用バッテリーの約6割を中国からの輸入に頼っており、地政学的リスクや供給途絶の懸念が業界全体に広がっている。
中国依存の実態とリスク
日本自動車工業会のデータでは、EV用モーターに不可欠なレアアースの約8割を中国から調達している。また、バッテリーに使用するリチウムやコバルトも、精製過程で中国のシェアが高い。こうした状況に対し、経産省幹部は「特定国への過度な依存は国家安全保障上のリスクだ」と指摘する。
実際、2023年には中国の輸出規制により、一部のレアアース価格が高騰。自動車メーカーの調達コストが上昇し、EVの価格競争力に影響を与えた。トヨタ自動車の関係者は「サプライチェーンの多元化は急務だ」と語る。
政府の対応策と補助金
日本政府は2024年度補正予算で、バッテリー国産化やレアアースのリサイクル技術開発に3000億円を計上。また、経済安全保障推進法に基づき、重要物資のサプライチェーン強化を図る。具体的には、北米や東南アジアからの調達先多様化を促進し、企業に補助金を支給する。
さらに、経産省は2025年までに、バッテリーの国内生産能力を現在の2倍に引き上げる目標を掲げる。これにより、中国依存度を2030年までに半減させる計画だ。
業界の反応と今後の課題
自動車メーカー各社は、政府の支援を受けつつ、独自の調達網構築を進める。日産自動車は、米国テスラとバッテリー供給契約を締結。ホンダは、カナダの鉱山会社とリチウム長期調達契約を結んだ。しかし、コスト面では中国製に劣るため、価格転嫁が課題となる。
専門家は「短期的にはコスト増は避けられないが、中長期的にはサプライチェーンの安定性が競争力につながる」と分析。自動車業界のサプライチェーン再編は、今後10年の重要なテーマとなりそうだ。



