世界的なEVシフトが加速している。欧州連合(EU)は2023年、2035年までにガソリン車やディーゼル車の新車販売を事実上禁止する法案を可決した。日本政府も2021年に、2035年までに乗用車の新車販売を全て電動車にする目標を掲げている。この流れは、自動車産業に大きな変革をもたらしている。
ガソリン車消滅のタイムライン
EUの決定は、自動車メーカーに厳しい目標を課すものだ。2035年以降、EU域内で販売される新車は二酸化炭素(CO2)を排出しない車両に限られる。これにより、ガソリン車やディーゼル車は新車市場から姿を消すことになる。ただし、合成燃料などカーボンニュートラルな燃料を使用する内燃機関車は例外とされる。
日本では、経済産業省が2021年に公表した「グリーン成長戦略」の中で、2035年までに乗用車の新車販売を全て電動車(EV、プラグインハイブリッド車、燃料電池車など)とする目標を掲げた。ただし、この目標には法的拘束力はなく、各メーカーの自主的な取り組みに委ねられている。
自動車メーカーの対応
大手自動車メーカーは、EVシフトに対応するため、巨額の投資を進めている。トヨタ自動車は2026年までにEVの世界販売台数を150万台に引き上げる計画だ。日産自動車は2028年までにEV専用の新型車を27車種投入すると発表している。ホンダも2040年までにEVと燃料電池車の販売比率を100%にする目標を掲げる。
しかし、EVシフトには課題もある。バッテリーの原材料であるリチウムやコバルトの調達リスク、充電インフラの整備、電力の安定供給などだ。また、EVはガソリン車に比べて価格が高く、普及にはコスト低減が不可欠とされる。
部品メーカーやガソリンスタンドへの影響
ガソリン車の消滅は、関連産業にも大きな影響を与える。エンジンやトランスミッションを製造する部品メーカーは、事業の転換を迫られる。例えば、デンソーはエンジン関連部品の生産を縮小し、EV向け部品にシフトしている。
ガソリンスタンドも存続の危機に直面する。全国約3万カ所あるガソリンスタンドは、EVの普及に伴い需要が減少する見通しだ。経済産業省は、ガソリンスタンドをEV充電スタンドや水素ステーションに転換する支援策を検討している。
環境への効果と消費者の反応
EVシフトは、温室効果ガスの削減に寄与すると期待される。運輸部門は世界のCO2排出量の約4分の1を占めており、EVの普及は気候変動対策の重要な柱だ。一方で、消費者の間では航続距離や充電時間への不安から、EV購入に慎重な声も少なくない。
実際、2023年の日本のEV販売台数は約8万8000台で、新車販売全体の2%程度にとどまる。普及には、政府による購入補助金や充電インフラの拡充が不可欠だ。



