世界各国で電気自動車(EV)へのシフトが加速しており、ガソリン車の新車販売を禁止する動きが広がっている。日本政府も2035年までに新車販売をすべて電動車(EV、HV、FCVなど)とする目標を掲げ、自動車産業は大きな変革を迫られている。
欧州を中心に広がるガソリン車禁止
欧州連合(EU)は2035年までに二酸化炭素(CO2)排出の新車販売を実質禁止する方針を固めた。英国も2030年からガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止し、2035年にはハイブリッド車も対象とする。中国は2035年までに新車販売の50%をEVやプラグインハイブリッド車とする目標を掲げている。
日本政府の目標と自動車メーカーの対応
日本政府は2021年に公表した「グリーン成長戦略」で、2035年までに新車販売をすべて電動車とする目標を設定。トヨタ自動車は2030年までにEVを350万台販売する計画を発表し、日産自動車は2030年度までに新型EV15車種を投入するとしている。一方で、マツダは内燃機関の効率向上やバイオ燃料の研究を継続する姿勢を示している。
部品メーカーへの影響と雇用問題
EVシフトはエンジンやトランスミッションなど従来の部品需要を減少させ、部品メーカーの事業構造に大きな影響を与える。経済産業省の試算では、2030年までに約3万人の雇用が創出される一方、約10万人の雇用が失われる可能性がある。特にエンジン部品を主力とする中小部品メーカーは、新たな事業領域への転換が急務となっている。
充電インフラ整備の課題
EV普及には充電インフラの整備が不可欠だ。日本政府は2030年までに急速充電器を3万基設置する目標を掲げているが、2023年時点で約2万基にとどまる。また、集合住宅での充電設備設置や、充電規格の統一なども課題となっている。
バッテリー調達と資源確保
EVの心臓部であるリチウムイオン電池に必要なリチウム、コバルト、ニッケルなどの資源は特定国に偏在する。日本は資源の安定確保に向け、オーストラリアや南米諸国との協力を強化している。また、パナソニックやGSユアサなど国内電池メーカーは、生産能力の増強を進めている。
EVシフトは自動車産業のバリューチェーン全体を変革し、雇用や技術に大きな影響を与える。政府と企業は連携して、円滑な移行と競争力維持を目指す必要がある。



