東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーの存在感が急速に高まっている。2024年上半期の新車販売台数で、中国ブランドのEVが全体の6割以上を占め、日本メーカーは大きく水をあけられた。この背景には、中国メーカーの積極的な価格戦略と、現地政府のEV普及政策がある。
中国勢が席巻する東南アジアEV市場
調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチによると、2024年上半期の東南アジア主要6カ国(タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、シンガポール)のEV販売台数は前年同期比で約2倍に増加。そのうち、中国ブランドのシェアは62%に達した。特に、比亜迪(BYD)が35%のシェアで首位に立ち、上海汽車(SAIC)が10%、長城汽車(GWM)が8%と続く。
日本メーカーは、トヨタ自動車が5%のシェアにとどまり、日産自動車やホンダはさらに低い水準にある。かつて東南アジア市場を席巻していた日本メーカーは、EVシフトで出遅れた形だ。
価格競争と政府支援が追い風
中国メーカーの強みは、低価格帯のEVを投入している点にある。BYDの小型EV「ドルフィン」はタイで約80万バーツ(約330万円)から販売され、ガソリン車と同等の価格帯を実現。さらに、タイ政府のEV購入補助金や輸入関税の引き下げが、中国メーカーの価格競争力を後押ししている。
一方、日本メーカーはハイブリッド車(HV)に注力してきたが、EVへの投資が遅れた。トヨタは2023年にタイでEVの生産を始めたが、販売台数は中国勢に遠く及ばない。業界関係者は「日本メーカーはHVで利益を上げているが、EV市場では価格面で競争力が弱い」と指摘する。
日本メーカーの巻き返しはなるか
日本メーカーも巻き返しを図る。トヨタは2025年までにタイでEVの生産能力を拡大し、日産はインドネシアでEVの現地生産を計画。しかし、中国メーカーが既に販売網を広げている中で、シェアを奪回するのは容易ではない。
専門家は「日本メーカーが東南アジアでEV市場を再びリードするには、価格競争力だけでなく、充電インフラの整備やアフターサービスを含めた総合的な戦略が必要」と話す。東南アジアのEV市場は今後も拡大が見込まれ、日本メーカーの戦略が問われている。



