東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーの存在感が急速に高まっている。2024年の新車販売台数に占める中国ブランドのシェアは約75%に達し、日本車メーカーは苦戦を強いられている。特にタイでは、中国のBYDが販売台数で首位に立ち、日本車の巻き返しは容易ではない。
市場拡大と中国勢の台頭
東南アジアのEV市場は、政府の補助金やインフラ整備を追い風に急成長している。2024年のEV販売台数は前年比で約2倍となり、市場全体の約10%を占めるまでに拡大した。この成長をけん引しているのが中国メーカーで、BYDや長城汽車、上海汽車などが低価格帯から高級車まで幅広いラインアップを投入している。
タイでは、BYDのコンパクトEV「ATTO 3」が2024年のベストセラーとなり、日本車のトヨタやホンダを抑えて販売首位に立った。インドネシアやマレーシアでも中国メーカーのシェアが拡大しており、日本車メーカーは存在感を低下させている。
日本車メーカーの苦戦
日本車メーカーは、東南アジア市場で長年にわたり高いシェアを誇ってきたが、EVシフトで後れを取っている。トヨタやホンダはハイブリッド車(HV)で強みを持つが、EVの投入が遅れており、中国勢に市場を奪われている。特に、タイ政府が2025年までにEV生産の30%を目標とするなど、政策面でもEVシフトが加速していることが日本車にとって逆風となっている。
ある自動車業界アナリストは「日本車メーカーは東南アジアでHVの需要を取り込んでいるが、EVの価格競争では中国勢に勝てない。現地生産の拡大や価格引き下げが必要だが、容易ではない」と指摘する。
今後の展望と課題
中国メーカーは、東南アジアでのEV需要を取り込むため、現地生産を積極的に進めている。BYDはタイに工場を建設し、2024年から生産を開始した。長城汽車もインドネシアで工場を稼働させており、中国メーカーのプレゼンスはさらに高まる見通しだ。
一方、日本車メーカーはEVの投入を加速している。トヨタは2025年までに東南アジアで10モデル以上のEVを投入する計画を発表した。ホンダもタイでEV生産を開始するなど、巻き返しを図っている。しかし、中国勢の価格優位性や政府の支援を考えると、日本車がシェアを回復するには時間がかかるとみられる。
東南アジアのEV市場は、中国勢の台頭により大きく様変わりしている。日本車メーカーが伝統的な強みを生かせるかどうかが、今後の競争の鍵を握るだろう。



