東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーの存在感が急速に高まっている。2023年のタイの新車販売台数で、中国のBYDが初めてトップ10入りを果たした。これは、長年にわたり日本車が支配してきた東南アジア市場において、大きな転換点を示している。
タイ市場で中国EVが躍進
タイ自動車工業会によると、2023年のタイ新車販売台数は前年比8.7%減の約77万5000台だった。その中で、BYDは約3万台を販売し、シェア約3.9%で第6位にランクインした。トヨタ、ホンダ、三菱などの日本勢が依然として上位を占めるものの、中国勢の台頭は無視できない。
さらに、タイではEV販売全体の約8割を中国メーカーが占める。政府のEV普及政策「EV3.5」の補助金制度も追い風となり、2024年にはEV販売が新車全体の10%を超える見通しだ。
日本車の苦戦と戦略転換
日本メーカーはこれまで、ハイブリッド車(HV)を中心に東南アジア市場で優位に立ってきた。しかし、EVシフトの加速により、戦略の見直しを迫られている。トヨタはタイでEV生産を開始したが、販売台数は中国勢に大きく及ばない。
業界関係者は「日本メーカーはEVのラインナップ不足と価格競争力の低下に直面している」と指摘する。一方、中国メーカーは低価格帯のEVを投入し、現地生産も進めている。
インドネシアやマレーシアでも中国勢拡大
タイだけでなく、インドネシアやマレーシアでも中国EVメーカーの進出が目立つ。インドネシアでは、五菱汽車(Wuling)や奇瑞汽車(Chery)がEVを投入し、政府のEV普及目標を後押ししている。マレーシアでもBYDや吉利汽車(Geely)が販売網を拡大中だ。
東南アジア全体のEV市場は2025年までに年率30%以上の成長が見込まれ、中国メーカーはその主役となる可能性がある。
日本勢の巻き返しは可能か
日本メーカーは、HVやプラグインハイブリッド(PHV)での強みを活かしつつ、EVの投入を加速する必要がある。しかし、価格面で中国勢に太刀打ちするのは容易ではない。
専門家は「日本メーカーは品質やアフターサービスで差別化を図るべきだ」と提言する。また、東南アジア各国の政策や充電インフラ整備の動向も、今後の競争に影響を与えるだろう。
東南アジアEV市場の今後
東南アジアは、人口増加と経済発展により、自動車市場として大きな可能性を秘める。EVシフトが加速する中、中国メーカーの攻勢は続き、日本メーカーは正念場を迎えている。
タイ政府は2025年までにEV生産を国内自動車生産の15%に引き上げる目標を掲げる。このような政策が、さらなる市場拡大を促すとみられる。



