電気自動車(EV)への移行が加速する中、自動車部品のサプライチェーンに構造的な変化が生じている。内燃機関向け部品の需要が減少する一方、バッテリーやモーターなどEV特有の部品需要が急増しており、日本メーカーは調達戦略の抜本的な見直しを迫られている。
部品構成の変化がもたらす影響
従来のエンジン車では約3万点の部品が必要とされていたが、EVではその数が約2万点に減少するとされる。特にエンジンやトランスミッションなどのパワートレイン部品が不要になる一方、駆動用バッテリーやインバーター、モーターなどの電動化ユニットの重要性が増している。この変化は、部品メーカーの事業構造に大きな影響を与えている。
ある大手部品メーカーの幹部は「従来のエンジン部品で培ってきた技術が、EV時代には通用しなくなる可能性がある。新たな技術開発とともに、顧客である自動車メーカーのニーズに合わせた部品供給体制の構築が急務だ」と指摘する。
バッテリー調達が最大の課題
EVの心臓部とも言えるバッテリーは、車両価格の約3〜4割を占めるとされ、その調達が最大の課題となっている。現在、リチウムイオンバッテリーの生産は中国企業が世界シェアの約7割を占めており、日本メーカーは調達先の多様化や自社生産への投資を進めている。
トヨタ自動車は、2026年までに次世代バッテリーの量産を開始する計画を発表。また、日産自動車は、英国の工場でバッテリー生産を行うとともに、再生可能エネルギーを活用したサプライチェーンの構築を目指している。
半導体不足が供給網に影
さらに、EVに搭載される半導体の需要も急拡大している。特にパワー半導体やマイコンは、電動化や自動運転機能の高度化に不可欠であり、その安定調達が各社の課題となっている。世界的な半導体不足が長引く中、自動車メーカーは半導体メーカーとの直接契約や、在庫の積み増しなどで対応を迫られている。
経済産業省の調査によれば、2030年には世界のEV販売台数が3000万台を超えると予測されており、それに伴い部品需要も大幅に増加する見通しだ。日本メーカーが競争力を維持するためには、サプライチェーン全体の強靭化と、新たな技術開発への積極的な投資が不可欠となっている。



