EVシフト加速もガソリン車の需要根強く、部品サプライヤーは二正面作戦を強いられる
EVシフト加速もガソリン車需要根強く、部品サプライヤーは二正面作戦

世界的な電気自動車(EV)シフトが加速しているが、ガソリン車の需要は依然として根強く、自動車部品サプライヤーは両方の技術に対応する「二正面作戦」を強いられている。業界関係者によると、部品メーカーはEV向けと内燃機関(ICE)向けの両方の部品を供給する必要があり、研究開発や生産設備への投資負担が増大している。

EVシフトの現状と課題

国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2023年の世界のEV販売台数は前年比35%増の約1400万台に達した。しかし、自動車全体の販売に占めるEVの割合はまだ18%程度にとどまっており、ガソリン車が依然として主流である。特に新興国では価格や充電インフラの整備が進まず、ガソリン車の需要が高い。

自動車部品大手のデンソーは、2040年までにEV関連の売上高比率を50%に引き上げる目標を掲げる一方、既存のICE部品事業も維持する方針だ。同社の広報担当者は「EVシフトは確実に進むが、移行期間中は両方の需要に対応しなければならない」と述べている。

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サプライヤーへの影響

部品サプライヤーは、EV向けの新製品開発とICE部品の改良を同時に進める必要があり、研究開発費の増加が収益を圧迫している。日本自動車部品工業会の調査によると、2023年度の部品メーカーの研究開発費は前年度比12%増の約1.8兆円に達した。特に、EV用のモーターやインバーター、バッテリー関連部品への投資が増えている。

一方、ガソリン車向け部品の需要は依然として大きく、エンジンやトランスミッション関連の部品生産は継続する必要がある。ある部品メーカーの経営者は「需要が減るとはいえ、ガソリン車の生産は今後10年以上続く。両方の技術に対応するための投資は避けられない」と語る。

経営資源の配分に苦心

サプライヤーは限られた経営資源をどのように配分するかで苦心している。EV向け部品の需要が急増する一方、ICE部品の収益も依然として大きい。両方の事業を維持するためには、生産ラインの柔軟性を高める必要がある。例えば、同じ生産ラインでEV用とICE用の部品を切り替えて生産できる設備への投資が進んでいる。

また、人材の確保も課題だ。EV関連の技術者需要が高まる一方、ICEの熟練技術者の退職が進んでいる。業界団体の試算では、2030年までに自動車部品業界で約10万人の技術者不足が生じる可能性があるという。

地域別の需要差

地域によってEVシフトの速度は異なり、サプライヤーは地域ごとに異なる戦略を求められている。欧州や中国ではEVシフトが急速に進む一方、北米や日本ではハイブリッド車(HV)やガソリン車の需要が依然として強い。特に日本では、2023年の新車販売に占めるEVの割合は約2%にとどまっており、HVが約50%を占める。

このため、日本の部品サプライヤーはHV向け部品の需要にも対応する必要がある。HVはエンジンとモーターの両方を搭載するため、ICE部品とEV部品の両方の需要が発生する。ある部品メーカーの技術責任者は「HVはICEからEVへの過渡期の技術だが、当面は重要な収益源になる」と指摘する。

今後の見通し

多くのアナリストは、2030年以降もガソリン車の需要は続くと予測している。そのため、サプライヤーは少なくともあと10年は二正面作戦を強いられる見通しだ。長期的にはEVシフトが完了する可能性があるが、それまでは両方の技術に対応できる体制が競争力の鍵となる。

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こうした状況下で、サプライヤーはコスト削減と技術革新の両立を迫られている。共同開発や業界再編の動きも活発化しており、例えば、複数の部品メーカーがEV向けプラットフォームの共同開発を進める事例も出ている。業界全体として、移行期間を乗り切るための知恵が問われている。