中国の電気自動車(EV)販売が失速し、自動車市場全体に激震が走っている。2024年上半期のEV販売台数は前年同期比でわずか3%増にとどまり、過去最低の成長率となった。これにより、中国政府が掲げる2030年までの新車販売に占めるEV比率40%目標の達成が危ぶまれている。
EV販売減速の背景
EV販売減速の最大の要因は、補助金縮小と充電インフラの未整備だ。中国政府は2023年にEV購入補助金を段階的に廃止し、消費者負担が増加。また、都市部では充電スタンド不足が深刻で、特に集合住宅での充電設備設置が進んでいない。さらに、EVの航続距離に対する消費者の不安も根強い。
加えて、中国経済の減速が消費マインドに冷や水を浴びせている。不動産不況と雇用不安が高額品購入を抑制し、EV需要が鈍化。自動車業界関係者は「補助金がなければEVはまだまだ高価すぎる」と指摘する。
日系メーカーへの影響
日系メーカーはEVシフトで出遅れ、中国市場での販売が低迷している。トヨタの2024年上半期の中国販売台数は前年同期比12%減、日産は15%減、ホンダは18%減と軒並み減少。特に、航続距離500km以上のEVモデルを持たない日産の苦戦が目立つ。
一方、中国勢は海外市場への攻勢を強めている。BYDは2024年に東南アジアと欧州で販売網を拡大し、上半期の海外販売台数が前年同期比2倍の50万台に達した。同社は「2025年までに海外販売比率を30%に引き上げる」と発表している。
市場再編の行方
EV販売の失速は市場再編を加速させる可能性がある。中国では現在100以上のEVメーカーがひしめくが、販売台数上位5社が市場の80%を占める。業界アナリストは「補助金縮小で弱小メーカーは淘汰され、生き残り競争が激化する」と予測する。
日系メーカーは巻き返しを図るが、中国市場での存在感は低下傾向だ。トヨタは2024年後半に新型EVを投入予定だが、価格競争で中国勢に対抗できるか不透明。専門家は「日系メーカーは中国市場でのシェア低下を受け入れ、東南アジアやインドなど新興国に軸足を移すべきだ」と提言する。
中国政府はEV販売対策として、農村部への充電インフラ整備に1500億元(約3兆円)を投入する方針。しかし、効果が表れるのは早くても2025年以降とみられる。中国自動車市場の変革は、今後数年でさらなる波乱を迎えそうだ。



