電気バス(EVバス)の大量導入が地域交通に革命をもたらす可能性が、各地の実証実験で明らかになってきた。東京都や京都市など複数の自治体が導入を進めており、2025年までに全国で1000台以上のEVバスが運行される見通しだ。
実証実験の成果とCO2削減効果
国土交通省の報告によると、EVバス1台あたりの年間CO2削減量は約30トンに達する。これは一般乗用車の約10台分に相当する。また、燃料費もディーゼルバスに比べて約60%削減できるという試算がある。
京都市交通局は2023年から市内の主要路線でEVバス10台を運行し、1日あたりの走行距離は約200キロメートルを達成。充電は終点で急速充電器を使用し、1回の充電で約150キロメートル走行可能だ。
充電インフラ整備の課題
しかし、導入拡大には充電インフラの整備が急務だ。現在、全国のバス事業者が利用できる公共用急速充電器は約100基にとどまる。東京都は2025年までに都内のバス停や営業所に200基の充電器を設置する計画だが、コストは1基あたり約1000万円に上る。
日本バス協会の田中会長は「EVバスの普及には、国や自治体による補助金の拡充と、充電インフラの標準化が不可欠だ」と指摘する。
車両価格と運行コストの現状
EVバスの車両価格はディーゼルバスの約2倍の8000万円前後と高額だ。しかし、燃料費やメンテナンスコストを考慮すると、10年運用した場合のトータルコストはディーゼルバスと同等かそれ以下になるという試算もある。
実際に導入した事業者からは「静粛性が高く乗り心地が良い」「加速がスムーズで運転しやすい」といった声が聞かれる一方、「航続距離が短く、長距離路線には不向き」という指摘もある。
今後の展望と技術開発
各メーカーは次世代EVバスの開発を加速している。例えば、日野自動車は2024年に航続距離300キロメートル以上の新型EVバスを発売予定。また、交換式バッテリーの導入やワイヤレス充電技術の実用化も検討されている。
経済産業省は「グリーン成長戦略」の一環として、2030年までにEVバスの新車販売比率を50%に引き上げる目標を掲げている。これにより、年間約100万トンのCO2削減効果が見込まれる。



