電気自動車(EV)の普及が世界的に進む中、日本では充電インフラの不足が深刻な課題として浮上している。経済産業省の目標では、2030年までに公共用充電器を15万基設置する計画だが、2023年時点での設置数は約3万基にとどまり、目標達成は困難な状況だ。
充電インフラ不足の実態
日本自動車工業会の調査によると、EVユーザーの約7割が「充電設備の不足」を購入時の不安要素として挙げている。特に都市部以外では充電器の設置が進まず、長距離移動への懸念が強い。例えば、北海道では全充電器の約8割が札幌圏に集中し、地方部では数百キロメートルにわたって充電スポットがないエリアも存在する。
また、既存の充電器も故障や老朽化が問題だ。国土交通省のデータでは、公共充電器の約15%が何らかの不具合を抱えているという。利用者からは「充電器にたどり着いても使えないことがある」との声が上がる。
政府と企業の取り組み
政府は2024年度補正予算で充電インフラ整備に1000億円を計上し、高速道路のサービスエリアや商業施設への設置を促進する。また、東京電力など電力各社は、急速充電器の増設計画を発表している。しかし、専門家は「設置数だけでなく、維持管理や互換性の確保が重要」と指摘する。
トヨタ自動車の担当者は「充電インフラの整備は業界全体で取り組むべき課題。自動車メーカーだけでなく、電力会社や自治体との連携が不可欠」と述べる。
海外の動向と比較
欧州連合(EU)は2025年までに主要道路沿いに60キロメートル間隔で急速充電器を設置する目標を掲げ、すでに整備が進む。中国では2023年末時点で公共充電器が約260万基に達し、世界最多を記録している。日本は出遅れ感が否めず、国際競争力の観点からも対策が急務だ。
日本EV協会の調査では、充電インフラが十分に整えば、EV購入意向が現在の2倍以上に増えるとの試算もある。インフラ整備はEV普及の鍵を握る。



