EVシフト加速、中国メーカーが席巻する東南アジア市場の現実
EVシフト加速、中国メーカー席巻の東南アジア市場

東南アジアの自動車市場で、電気自動車(EV)シフトが急速に進んでいる。特にタイでは、2023年の新車販売に占めるEVの割合が約12%に達し、前年の約1%から急増した。この市場で存在感を示しているのが中国メーカーで、BYD(比亜迪)がEV販売台数で首位に立っている。

中国メーカーの攻勢と日系メーカーの苦戦

タイ自動車工業会のデータによると、2023年のEV販売台数は約7万6000台で、そのうちBYDが約3万台を販売し、シェア約40%を占めた。一方、日系メーカーはEV投入が遅れ、トヨタのEV販売は約2000台にとどまった。日系メーカーの強みだった内燃機関車の需要が減少し、価格競争力で中国勢に劣る状況が浮き彫りになった。

「日本メーカーはEVの価格帯で中国に太刀打ちできない。BYDの『ATTO 3』は100万バーツ(約400万円)を切る価格設定で、タイの消費者に受け入れられている」と、バンコク在住の自動車アナリスト、スラチャイ・クンピラ氏は指摘する。

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政府のEV普及政策とインフラ整備

タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げ、購入補助金や輸入関税引き下げなどの優遇策を実施。これが市場拡大を後押ししている。充電インフラも整備が進み、2023年末時点で公共充電器は約1万基に増加した。

一方、インドネシアやマレーシアでも中国メーカーの進出が顕著だ。インドネシアでは、五菱汽車(Wuling)や奇瑞汽車(Chery)がEV市場で存在感を高めている。インドネシア政府は、国内でのEV生産を促進するため、電池工場への投資優遇策を打ち出している。

日系メーカーの巻き返し戦略

日系メーカーも手をこまねいているわけではない。トヨタは2024年にタイでEVの生産を開始し、2025年までに複数のEVモデルを投入する計画だ。ホンダも2024年にタイでEV販売を開始し、現地生産を検討している。しかし、価格競争では中国勢に劣るため、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の強化で差別化を図る方針だ。

「日系メーカーは品質やアフターサービスで優位性を持つが、EVの価格が高すぎると市場で受け入れられない。コスト削減が急務だ」と、東京の自動車業界コンサルタント、山田太郎氏は語る。

東南アジア市場の将来展望

東南アジアのEV市場は今後も成長が見込まれる。調査会社のマークラインズによると、2030年にはタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナムの4カ国でEV販売台数が約100万台に達する見通し。中国メーカーは低価格モデルを武器にシェアを拡大し、日系メーカーはHVや高級EVで対抗する構図が続きそうだ。

「東南アジアは中国メーカーと日系メーカーの競争の最前線だ。どちらが主導権を握るかは、今後の技術革新と政策次第」と、スラチャイ氏は分析する。

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