中国の自動車メーカーが電気自動車(EV)を中心に欧州市場で急速に存在感を高めている。2023年の欧州での中国ブランド車の販売台数は前年比で約2倍に増加し、特に小型EVで高い伸びを示している。この背景には、中国政府のEV普及政策やメーカーの技術力向上がある。
中国メーカーの欧州戦略
中国の自動車メーカーは、欧州での販売網を拡大し、現地生産にも乗り出している。例えば、BYDはハンガリーにEV工場を建設中で、2025年の生産開始を目指している。また、上海汽車(SAIC)傘下のMGは、英国や欧州大陸で販売を強化し、2023年の欧州販売台数が10万台を超えた。
欧州自動車工業会(ACEA)のデータによると、2023年の中国ブランド車の欧州新車登録台数は約30万台で、市場シェアは約2%に達した。これは前年の約1%から倍増したことになる。特に、小型SUVやハッチバックタイプのEVが人気で、価格競争力が強みとなっている。
欧州メーカーの対応
欧州の伝統的な自動車メーカーは、中国メーカーの攻勢に対抗するため、EVラインアップの拡充や価格引き下げを進めている。フォルクスワーゲンはID.シリーズの低価格モデルを投入し、ステランティスは中国メーカーとの提携を模索している。しかし、欧州メーカーのEV販売は依然として中国メーカーに遅れをとっている。
「中国メーカーのEVは品質と価格のバランスが良く、欧州消費者にも受け入れられつつある」と、ドイツの自動車専門誌『アウトモビル・ヴォッヘ』の編集長は指摘する。一方で、欧州委員会は中国製EVに対する補助金の調査を開始しており、貿易摩擦の懸念も出ている。
今後の展望
中国メーカーの欧州市場での存在感はさらに増すと予想される。調査会社IHS Markitの予測では、2030年までに中国ブランド車の欧州市場シェアは5%を超える可能性がある。ただし、欧州の環境規制や現地生産の課題もあり、すべてのメーカーが成功するわけではない。
また、中国メーカーは欧州だけでなく、東南アジアや中東など新興市場でもEV販売を拡大しており、グローバルな自動車産業の勢力図が変わりつつある。日本の自動車メーカーも、EVシフトへの対応を迫られている。



