欧州自動車工業会(ACEA)が2026年4月に発表した年次レポートによると、EU加盟国が2025年に中国から輸入した自動車は100万6188台に達し、前年比30.7%増加。初めて100万台を突破し、国別輸入台数で首位となった。第2位のトルコ(56万6823台)、第3位の日本(43万2144台)に大差をつけている。
反補助金関税の影響と回復
欧州委員会は2024年10月、中国製EVが不当な補助金の恩恵を受けていると認定し、高率の追加関税を課した。この影響で中国製EVの輸入は一時的に落ち込んだが、すぐに回復。さらに、追加関税の対象外であるPHV、HV、エンジン車の輸入が急増し、全体の輸入台数を押し上げた。
格付け会社フィッチ・レーティングスのチーデム・ジェリット・シニアディレクターは、「欧州市場で中国車の販売が急拡大したのは、高い価格競争力、電動化やスマート化などの先進技術の魅力、米国と比較した市場参入のハードルの相対的な低さなど、複数の要素が重なったためだ」と分析する。
メーカー別販売動向
メーカー別販売台数では、国有大手の上海汽車集団(上汽集団)と民営大手の比亜迪(BYD)が突出している。ACEAのデータによれば、EU域内での2025年の販売台数(登録ベース)は、上汽集団が前年比33.9%増の21万1014台、BYDは前年の3.3倍の12万8827台に達した。
特にBYDは、2026年4月の月間販売台数で日産やマツダを上回るシェアを獲得。PHV(プラグインハイブリッド車)のランキングでも首位に立つなど、存在感を急速に高めている。
市場参入のハードルと現地生産
EUは中国製EVに対する関税を強化する一方、現地生産を促す政策も進めている。中国メーカーは欧州での生産拠点確保が必須となりつつあり、BYDはハンガリーに工場を建設中。また、上汽集団も欧州での生産を検討している。
市場参入と雇用維持を交換する形で、中国メーカーの現地生産が進めば、さらなる市場拡大が期待される。一方で、EUの規制強化や競合他社の反発も予想され、今後の動向が注目される。



