EVシフトの陰で急拡大する中国ガソリン車輸出の実態
EVシフトの陰で急拡大する中国ガソリン車輸出

世界的なEVシフトが加速する中、中国のガソリン車輸出が急拡大している。2023年の自動車輸出台数で中国が日本を上回り、世界一の自動車輸出国となる見通しだ。この現象は、EVだけでなく従来型のガソリン車でも中国の存在感が増していることを示している。

中国の自動車輸出、世界一に

中国自動車工業協会の統計によれば、2023年1月から11月までの累計輸出台数は約441万台に達し、前年同期比で約60%増加した。このペースが続けば、年間では500万台を超え、日本の430万台(予測)を上回る見込みだ。中国は2022年にドイツを抜いて世界2位となり、2023年にはついに首位に立つ。

輸出の内訳を見ると、EVなどの新エネルギー車(NEV)が約30%を占めるが、残りの70%はガソリン車やディーゼル車などの従来型エンジン車である。つまり、中国の自動車輸出拡大の主因は、EVだけではなく、ガソリン車の輸出増加にある。

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ロシア市場の急拡大が背景

中国のガソリン車輸出増加を支える最大の要因は、ロシア市場の急拡大だ。ウクライナ侵攻後の欧米の対ロシア制裁により、多くの欧米・日本メーカーがロシア市場から撤退した。その穴を埋める形で、中国メーカーが大量にガソリン車を輸出している。

2023年の中国からロシアへの自動車輸出は、前年比で約4倍に増加し、中国の自動車輸出全体の約20%を占めるまでになった。特に、吉利汽車や奇瑞汽車、長城汽車などの中国ブランドがロシア市場で急速にシェアを拡大している。

「中国メーカーは、ロシア市場向けにガソリン車を大量に供給している。これは、中国の自動車産業の生産能力と価格競争力の高さを示している」と、業界アナリストの田中氏は指摘する。

新興国市場でも存在感拡大

ロシアだけでなく、東南アジア、中東、アフリカ、南米などの新興国市場でも、中国製ガソリン車の販売が伸びている。これらの市場では、価格の安さと十分な品質が評価され、日本車や韓国車のシェアを奪いつつある。

タイでは、2023年の中国車の市場シェアが約15%に達し、その大半はガソリン車だ。インドネシアやマレーシアでも同様の傾向が見られる。中東ではサウジアラビアやUAEでの中国車販売が好調で、アフリカでは南アフリカやエジプトで市場が拡大している。

日本メーカーへの影響

中国のガソリン車輸出攻勢は、日本メーカーにも影響を及ぼしている。日本自動車工業会のデータによれば、2023年の日本の自動車輸出は前年比で約5%減少する見通しで、特にロシア向け輸出が激減した。また、東南アジア市場でも中国車との競争激化により、日本車のシェアが低下しつつある。

「日本メーカーは、EVシフトに注力する一方で、ガソリン車市場での競争力維持も課題だ。中国メーカーのコスト競争力は脅威であり、価格面での優位性を打ち出す必要がある」と、自動車業界コンサルタントの鈴木氏は語る。

中国自動車産業の戦略

中国政府は、EV普及を推進する一方で、ガソリン車の輸出も積極的に支援している。輸出補助金や貿易促進策により、中国メーカーの海外展開を後押ししている。また、国内市場の競争激化により、多くの中国メーカーが海外市場に活路を求めている。

中国の自動車メーカーは、低価格帯から中価格帯のガソリン車を中心に、品質と装備の充実を図り、日本車や韓国車に対抗している。さらに、現地生産拠点の設立も進めており、長期的な市場浸透を狙っている。

「中国の自動車輸出は、今後も拡大を続けるだろう。特にガソリン車は、新興国市場での需要が根強いため、当面は輸出の主役であり続ける」と、業界専門家は予測する。

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今後の展望

中国のガソリン車輸出拡大は、世界の自動車産業地図を塗り替える可能性がある。従来の日本、ドイツ、韓国に加え、中国が新たな輸出大国として台頭し、競争が一段と激化する。一方で、環境規制の強化やEVシフトの加速により、ガソリン車市場自体が縮小するリスクもある。

中国メーカーは、ガソリン車で得た収益をEV開発に振り向ける戦略をとっており、EV市場でも存在感を強めている。2023年の中国製EVの輸出も前年比で約80%増加しており、ガソリン車とEVの両面で世界市場を席巻しつつある。

日本の自動車メーカーにとっては、EVシフトへの対応と同時に、ガソリン車市場での競争力維持が急務となっている。中国の急成長に対抗するためには、技術革新とコスト削減、そして新興国市場での戦略的な展開が求められる。