中国で電気自動車(EV)用バッテリーのリサイクル市場が急速に拡大している。業界団体の予測によると、2028年には市場規模が1000億元(約2兆円)に達する見通しだ。背景には、中国政府による環境規制の強化と、レアメタルなどの重要資源の確保を目指す動きがある。
市場拡大の背景
中国は世界最大のEV市場であり、2023年のEV販売台数は約950万台に達した。これに伴い、使用済みバッテリーの廃棄量も増加しており、環境汚染を防ぐためのリサイクル需要が高まっている。中国政府は2022年にバッテリーリサイクルに関する新たな規制を導入し、メーカーにリサイクル責任を課している。
資源確保の重要性
バッテリーに含まれるリチウム、コバルト、ニッケルなどのレアメタルは、供給の大部分を海外に依存している中国にとって戦略的に重要だ。リサイクル市場の拡大は、これらの資源の安定確保につながると期待されている。特にコバルトは、地政学的リスクの高いコンゴ民主共和国からの輸入に頼っており、リサイクルによる調達が急務となっている。
業界の動き
こうした状況を受け、中国の大手EVメーカーやバッテリーメーカーはリサイクル事業に積極的に参入している。例えば、比亜迪(BYD)や宁德時代(CATL)は自社のバッテリーリサイクル施設を建設中だ。また、スタートアップ企業も続々と参入し、技術開発競争が激化している。
技術的課題
市場拡大の一方で、技術的な課題も残る。現在のリサイクル技術では、バッテリーから有用金属を効率的に回収するコストが高く、経済性の向上が求められている。特に、リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーはコバルトを含まず、リサイクルの収益性が低いため、処理方法の革新が必要だ。
今後の見通し
業界アナリストは、中国政府の支援と規制強化により、リサイクル市場は今後も成長を続けると予測する。2025年には市場規模が500億元を超え、2028年には1000億元に達する見込みだ。また、バッテリーの標準化やリサイクル技術の進歩により、経済性が改善されることで、さらなる市場拡大が期待される。
中国のEVバッテリーリサイクル市場の成長は、世界的なEV普及と資源循環のモデルケースとなる可能性がある。今後の動向が注目される。



