世界の電気自動車(EV)用電池市場で、中国企業の存在感が一段と高まっている。2023年の世界シェア(搭載ベース)で、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が約37%で首位を維持し、比亜迪(BYD)が約16%で2位に続いた。両社で世界の半分以上を占める。これに対し、日本のパナソニックは約7%で4位と、トップ10に唯一の日本企業として名を連ねるが、かつての勢いはない。
中国勢の躍進が止まらない
CATLは、テスラやBMW、メルセデス・ベンツなど幅広い自動車メーカーに電池を供給し、その生産能力と技術力で世界をリードする。BYDは自社のEV生産に加え、他社への供給も拡大。中国政府の強力な支援と豊富な資源を背景に、両社はさらなる生産拡大を計画している。
一方、韓国勢も健闘している。LGエナジーソリューションが約14%で3位、SKオンが約5%で6位、サムスンSDIが約5%で7位と、トップ10に3社がランクイン。特にLGは、GMやフォルクスワーゲンなどとの契約を強化し、シェアを伸ばしている。
日本勢の苦戦要因
日本勢の低迷は、いくつかの要因が指摘される。第一に、日本企業は長らくハイブリッド車(HV)向け電池に注力し、EV用電池への投資が遅れた。第二に、中国勢の積極的な価格戦略に対抗できず、コスト競争で劣位に立たされている。第三に、資源調達において中国に依存するリスクを抱える。
パナソニックはテスラ向け供給で一定の地位を築いているが、テスラがCATLやLGからの調達を増やしていることから、今後の受注減少が懸念される。また、日本企業全体として、次世代電池の開発競争でも中国勢に後れを取っている。
自動車メーカーの戦略転換
こうした状況を受け、日本の自動車メーカーも電池戦略の見直しを迫られている。トヨタは2026年までに次世代電池の量産を計画し、日産は独自の電池生産を強化。ホンダはGMとの提携で電池調達を安定化させる方針だ。しかし、需要の急拡大に対応するには、外部からの調達も不可欠であり、中国勢への依存度が高まる可能性がある。
専門家は「日本勢が巻き返すには、技術革新と大規模投資が不可欠」と指摘する。特に、全固体電池などの革新的技術の実用化が鍵を握る。しかし、量産化にはまだ時間がかかり、その間に中国勢がさらにシェアを拡大するのは確実と見られる。
今後の見通し
世界のEV用電池市場は、2030年までに現在の3倍以上に拡大すると予測される。中国勢は、その生産能力とコスト競争力を武器に、さらなるシェア拡大を狙う。韓国勢も欧米市場での存在感を強めており、日本の存在感はますます薄れる可能性がある。
日本政府は、電池産業の競争力強化に向け、2030年までに国内生産能力を現在の約10倍に引き上げる目標を掲げる。補助金や規制緩和を通じて企業を支援する方針だが、企業側の具体的な投資計画はまだ不透明だ。
世界のEVシフトが加速する中、電池調達を巡る国際競争は激化の一途をたどる。日本勢が生き残るためには、官民一体となった戦略的な取り組みが急務となっている。



