EV普及のカギはバッテリー交換式?中国で急速に拡大する「電池交換ステーション」の実力
EV普及のカギはバッテリー交換式?中国の電池交換ステーション

電気自動車(EV)の普及において、充電時間の長さは依然として大きな課題だ。しかし中国では、バッテリーを丸ごと交換する「電池交換ステーション」が急速に拡大しており、この問題を解決する新たな選択肢として注目を集めている。

約3分で完了するバッテリー交換

中国のEVメーカーNIO(蔚来汽車)は、自社の電池交換ステーション「Power Swap Station」を全国に展開中だ。このステーションでは、ドライバーが車を所定の位置に停めると、自動でバッテリーが交換される。所要時間はわずか約3分で、ガソリン車の給油とほぼ変わらない。

NIOの電池交換ステーションは、2023年時点で中国国内に約2100カ所設置されている。同社は2025年までに約4000カ所に拡大する計画を掲げており、すでに一部の高速道路サービスエリアや都市部に設置済みだ。NIOの李斌CEOは「電池交換はEV普及の鍵であり、ユーザーの航続距離不安を解消する」と述べている。

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中国市場での急速な拡大背景

中国では政府のEV普及政策に加え、バッテリー交換式の規格統一が進んでいる。2021年には中国工業情報化省が電池交換式EVの推進を打ち出し、標準化を後押しした。これにより、NIOだけでなく、BAICや吉利汽車など他の中国メーカーも参入し、ステーションの相互利用が可能になりつつある。

また、バッテリー交換式のメリットとして、車両購入時にバッテリー代を分離できる「BaaS(Battery as a Service)」モデルが挙げられる。NIOの場合、バッテリーをリースすることで車両価格を約10万元(約200万円)引き下げられる。これにより、EVの初期費用を抑えられ、普及促進につながっている。

他地域との比較と課題

一方、日本や欧米では電池交換式の普及は限定的だ。日本ではホンダや日産が過去に実証実験を行ったが、規格の統一やインフラ投資の課題から本格導入には至っていない。欧州でも、テスラが電池交換式を試みたが、現在は充電式に注力している。

電池交換式の課題としては、バッテリーの在庫管理やステーション建設コストの高さが挙げられる。NIOのステーション1基あたりの建設費は約200万元(約4000万円)とされ、収益化には一定数のユーザーが必要だ。また、バッテリーの劣化や互換性の問題も残る。

今後の展望

中国の電池交換式EV市場は、2023年に約10万台の販売を記録し、前年比で約3倍に成長した。業界団体の中国電動汽車充電基礎設施促進連盟は、2025年までに電池交換ステーションが2万カ所を超えると予測している。

NIOは2024年から欧州市場にも電池交換ステーションを展開する計画だ。最初の拠点はノルウェーで、年内に約20カ所の設置を目指す。李斌CEOは「電池交換はEVの利便性を高める重要なソリューションであり、グローバル展開を加速する」と述べている。

EVの充電インフラは、現在は充電式が主流だが、電池交換式がその補完として成長する可能性がある。特に、長距離移動や時間制約の厳しいユーザーにとって、3分で完了する交換式は大きな魅力だ。中国の動向は、今後の世界のEV普及戦略に影響を与えるだろう。

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