EVシフト加速で変わる自動車産業の部品サプライチェーン
EVシフトで変わる自動車部品サプライチェーン

電気自動車(EV)へのシフトが加速する中、自動車産業の部品サプライチェーンが大きく変わりつつある。従来のエンジン車で使われていた部品の需要が減少する一方、EVに不可欠なバッテリーやモーターなど新たな部品の需要が急増している。この変化は、部品メーカーの事業構造に根本的な変革を迫っている。

エンジン部品の需要減少と新たな部品の台頭

エンジン車では、エンジン本体に加えて燃料噴射装置や排気系部品など多くの部品が必要だった。しかし、EVではエンジンが不要になるため、これらの部品の需要は大幅に減少する。一方で、EVではバッテリー、モーター、インバーター、パワーコントロールユニットなど、従来のエンジン車にはなかった部品が必要となる。特にバッテリーはEVの心臓部であり、車両価格の約3割を占めるとされる。

日産自動車の電気自動車「リーフ」の例では、エンジン車に比べて部品点数が約4割減少したと報告されている。これは、部品メーカーにとって既存のビジネスモデルの見直しを迫る数字である。

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部品メーカーの対応と生き残り戦略

多くの部品メーカーは、EVシフトに対応するために事業ポートフォリオの転換を進めている。デンソーは、エンジン関連部品からEV向け部品へのシフトを加速し、2030年までにEV関連の売上比率を現在の約2割から5割に引き上げる目標を掲げている。また、アイシンは、トランスミッションなど駆動系部品の技術を活かし、EV用のeアクスル(モーターとインバーターを一体化したユニット)の開発に注力している。

一方で、エンジン部品に特化してきた中小部品メーカーは、生き残りが厳しい状況にある。ある部品メーカーの幹部は「エンジン部品の需要が2030年には半減すると見込んでおり、新たな事業領域への転換が急務だ」と語る。

サプライチェーンの再編と新たな競争

EVシフトは、サプライチェーン全体の再編も引き起こしている。従来の自動車メーカーと部品メーカーの関係に加え、バッテリー生産では化学メーカーや素材メーカーが新たに参入している。また、IT企業も自動運転技術やコネクティッド技術で存在感を増している。これにより、部品メーカーは異業種との競争に直面している。

例えば、パナソニックはテスラ向けにバッテリーを供給しており、自動車部品メーカーというよりは電機メーカーとしての強みを活かしている。また、ソニーはホンダとの合弁会社を通じてEV市場に参入し、センサーやエンターテインメントシステムで差別化を図っている。

地域別の影響と日本の部品メーカーの課題

地域別に見ると、中国や欧州ではEVシフトが特に急速に進んでおり、部品メーカーへの影響も大きい。中国では、政府の補助金政策もあり、2022年のEV販売台数は前年比約8割増の約600万台に達した。これに対し、日本のEV普及率は約2%と低く、部品メーカーの対応が遅れているとの指摘もある。

日本の部品メーカーは、品質や生産技術で優位性を持つが、EV向け部品では海外勢に後れを取っている。特にバッテリーでは、中国のCATLや韓国のLGエネルギーソリューションが世界市場を席巻しており、日本勢のシェアは低下傾向にある。

今後の展望と業界の行方

EVシフトは今後さらに加速し、2030年には世界の新車販売の約3割がEVになると予測されている。これに伴い、部品サプライチェーンはさらに大きく変化するだろう。部品メーカーには、既存技術の転用や新技術の開発、異業種との連携など、柔軟な対応が求められる。

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また、自動車メーカーと部品メーカーの関係も変化している。従来の系列関係を超え、オープンな協業が進むとともに、部品メーカーが自らシステムインテグレーターとしての役割を担うケースも増えている。このような変化に対応できるかどうかが、今後の部品メーカーの命運を分けることになるだろう。