佐賀県は、官民データを統合・活用するためのデータ連携基盤「SAGA DAP(Saga Data Aggregation Platform)」の構築を進めている。この取り組みは、地域のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ、医療、防災、農業など多岐にわたる分野での課題解決を目指すものだ。佐賀県は、全国に先駆けてデータ連携基盤を導入し、その成果を他の自治体にも展開しようとしている。
SAGA DAPの概要と目的
SAGA DAPは、県内の行政機関、医療機関、民間企業などが保有するデータを一元的に管理・連携するためのプラットフォームである。これにより、従来は個別に管理されていたデータを横断的に分析し、新たな価値を生み出すことが可能になる。例えば、医療データと介護データを連携させることで、高齢者の健康状態を総合的に把握し、より効果的な予防医療やケアプランの策定が期待できる。
佐賀県デジタル戦略課の担当者は、「SAGA DAPにより、県民の生活の質を向上させるとともに、行政サービスの効率化を図りたい」と述べている。同基盤は、2023年度から本格運用が開始され、現在もデータの拡充と連携先の拡大が進められている。
医療・介護分野での活用事例
医療・介護分野では、SAGA DAPを活用した「佐賀県健康・医療・介護データ連携システム」が注目を集めている。このシステムは、県内の病院、診療所、薬局、介護施設などのデータを統合し、患者の状態をリアルタイムで把握できるようにする。例えば、救急搬送時に患者の過去の診療情報やアレルギー情報を迅速に取得することで、適切な治療を迅速に行うことが可能になる。
また、介護現場では、要介護者の状態変化をデータで可視化し、ケアマネジャーがより適切なケアプランを作成するための支援ツールとしても活用されている。佐賀県は、このシステムを2025年度までに県内全域に拡大する計画で、高齢化社会における医療・介護の質向上に貢献すると期待されている。
防災分野でのデータ連携
防災分野でも、SAGA DAPの活用が進められている。佐賀県は、河川の水位データ、雨量データ、避難所の混雑状況などを統合し、災害発生時の迅速な意思決定を支援するシステムを構築中だ。例えば、過去の災害データとリアルタイムの気象データを組み合わせることで、より精度の高い避難勧告の発令が可能になる。
さらに、SAGA DAPは県民向けの防災アプリとも連携し、個人の位置情報や避難行動のデータを収集・分析することで、避難経路の最適化や避難所の運営効率化にも役立てられる。佐賀県防災危機管理課の担当者は、「データ連携により、災害時の人命救助や被害軽減に大きく貢献できる」と語る。
農業分野でのスマート農業推進
農業分野では、SAGA DAPを活用したスマート農業の推進が進められている。県内の農家から収集した土壌データ、気象データ、生育データなどを統合分析し、最適な施肥や灌漑のタイミングを農家に提供するサービスが開発されている。これにより、生産性の向上と品質の安定化が期待されている。
佐賀県農業技術防除センターの研究員は、「データに基づく農業により、経験や勘に頼らない効率的な農業が可能になる」と述べている。また、SAGA DAPは農業協同組合(JA)とも連携し、農産物の出荷調整や需要予測にも活用される予定だ。
他自治体への展開と今後の展望
SAGA DAPの取り組みは、他の自治体からも注目を集めている。佐賀県は、この基盤のノウハウを他地域に展開するための「SAGA DAPモデル」を策定し、全国の自治体に提供する計画だ。既に数県から問い合わせがあり、2024年度中には共同での実証実験が開始される見通しである。
佐賀県知事は、「佐賀県が先導するデータ連携基盤が、日本全体のDX推進のモデルケースとなることを目指す」とコメントしている。SAGA DAPは、地域の課題解決にデータを活用する新たな手法として、今後の地方行政のあり方に大きな影響を与える可能性がある。



