日本初の2階建て3Dプリンター住宅「Stealth House(ステルスハウス)」が誕生した。パソコンで設計したデータをもとに、巨大なプリンターがノズルからモルタルやコンクリートを押し出し、層を積み上げながら壁を造形する工法で、造形期間はわずか10日間。建設業界が直面する人手不足や熟練職人の減少、建築費高騰の解決策として期待されている。
3Dプリンター住宅の現状と課題
欧米やアジアでは、3Dプリンター住宅団地や公共施設、店舗などの実用事例が多数あり、普及が進んでいる。一方、日本ではこれまで擁壁や側溝などの土木構造物、壁パネルなどの部材が中心で、住宅としては平屋が主流だった。2階建ての実現は、日本の3Dプリンター住宅にとって大きな転換点となる。
オノコムの那須貴寛氏は、「3Dプリンティングで一戸建て住宅を建てるための壁を切り開こうとする人が国内に少なかった。プリンター自体を持つ会社がなく、前例がないためモデリングや構造計算が難しかった」と語る。
2階建て実現の3つのハードル
2階建て3Dプリンター住宅の実現には、技術的・法的な3つの壁があった。
- 構造計算の前例がない:積層モルタルの強度評価が未整備で、従来の構造計算式が使えない。層間接着強度や2階建ての荷重耐性の検証が必要だった。
- 高さのある積層の施工精度:高さが増すほどわずかなズレが致命的な影響を与え、施工中の崩壊や変形リスクが高まる。
- 建築確認審査が通りにくい:新工法の2階建て住宅は前例がなく、安全性の説明が困難。膨大な資料と実証が求められた。
ステルスハウスは、これらのハードルを一つずつ突破して実現した。
今後の展望
今回の成功により、日本の3Dプリンター住宅は新たな段階に入った。那須氏は「この技術が普及すれば、建設コストの削減や工期短縮、職人不足の解消につながる」と期待を示す。今後はさらに大規模な住宅や公共施設への応用が検討されている。



