介護人材不足が深刻な日本で、外国人ヘルパーとの協働が進んでいる。東京都内で活動するAJU自立の家では、登録ヘルパー354人のうち34人がバングラデシュ人だ。脊髄損傷で胸から下が動かない近藤佑次さんは、現在4人の外国人ヘルパーと共に生活している。
「醤油」「カイロ」が通じない
近藤さんは胸から下が動かず、右腕は動くものの何かをつかむなどの動作はできない。ベッドから車椅子に移るときは、ヘルパーがリフトを使って移動させる。食事は食べ物を口に運んでもらう。また、人工肛門のため、お腹につけたパウチの交換が定期的に必要だ。
これらすべての介護を外国人ヘルパーもこなすが、そのなかで壁になるのが「言語と文化」だと近藤さんは語る。具体例を聞くと、「まず、そのものの単語を知らなかったり、そもそも彼らの国にないものはわからない」という。たとえば、「カイロ」と言っても通じない。「あったかくなるやつで……」と、いろいろな言い方に変えて説明する。
「醤油」も通じなかった。「醤油を取って」と言ってもどれかわからず、冷蔵庫に入っているボトルを片っ端から持ってくることもあった。近藤さんは「特に名詞と料理名はわからないですね」と付け加える。
伝わる工夫、ラマダンへの配慮
外国人ヘルパーが入るときは同じものを食べるようにして、「いつもの」で通じるように工夫することもあるという。「外食に行ってしまえば注文するだけだから楽ですね」と笑う。口だけで説明しても通じないときは、画像検索やアレクサの通訳を利用する。そもそも日本人特有の曖昧な言い方は、外国人には伝わりにくいこともある。簡単な言葉でスパッと言い切る工夫も必要だという。
取材時、バングラデシュ出身で、来日して1年、登録ヘルパーとして活動を始めて3カ月目のサニーさんが付き添っていた。平日は日本語学校に通いながら、土日に登録ヘルパーとして活動している。私が「平日は学校ですか?」と聞いても、サニーさんが理解してなさそうな雰囲気を察した近藤さんは、すかさず「土曜と日曜以外は?」と言い換えていた。その姿から、どんな表現なら伝わりやすいか、これまでにたくさん工夫をしてきたことが感じられた。
また、イスラム教徒のヘルパーがラマダン期間中は断食するため、動きが鈍くなることもある。キッチンでお祈りをする姿も見られるという。近藤さんは「それなりに覚悟が必要」と語る。



