米国のファストフード業界で、ドライブスルーでの注文受付を自動化する音声認識AIアシスタントの導入が急速に進んでいる。2024年には全米の約4%だった導入率は、2025年に5%へ増加し、今年の調査では6%に達した。タコベルは全米の店舗の10%以上にあたる890のドライブスルー車線にAIを導入し、Dairy Queenは25州で同技術を採用、White Castleでは12%の店舗がAIを利用している。
「親切すぎる」AIの声に気づく客
米国のアイスクリームチェーン、Dairy Queenのドライブスルーを訪れたクリステン・シャーパンティエ氏は、スピーカーから聞こえてきた声が「親切すぎた」と感じ、AIだと気づいたという。「会話の遅れや不自然さはまったくなく、自然に感じられました。ただ、人間にしては、あまりにも親切すぎたのです」と、シャーパンティエ氏は『WIRED』に語っている。その声はことあるごとに「お願いします」や「ありがとうございます」と付け加え、アイスにスニッカーズのトッピングを追加するよう提案してきたという。
導入拡大と初期の失敗
マクドナルドは2019年に音声認識AIを開発するスタートアップ、Apprenteを買収し、この分野の先駆けとなった。パンデミックによるドライブスルーブームに伴い、Del TacoとDairy QueenはPrestoと、Panda ExpressとWhite CastleはSoundHoundと、タコベルはNVIDIAおよびOmiliaと提携した。
しかし、初期のAIは問題も多かった。2023年にはマクドナルドのAIが注文に260個のチキンマックナゲットを追加する動画がTikTokで拡散され、翌年にはアイスクリームの注文にベーコンを追加する動画も投稿された。タコベルで1万8,000杯の水を注文した男性のように、AIのシステムを混乱させようとする客も現れた。Intouch Insightの調査によると、現実にはAIドライブスルーは人間よりも親しみやすさに欠け、注文の正確性も低い傾向にあった。
再び加速するAIドライブスルー導入
それでも、多くのチェーンはAIドライブスルーのテストを拡大し続けている。White Castleのチーフマーケティングオフィサー、ジェイミー・リチャードソン氏は「最初から悪くはありませんでしたが、時間が経つにつれて、はるかに良くなっています」と語る。マクドナルドは今夏、グーグルと提携し、全米5カ所の店舗で英語とスペイン語に対応したAI注文システムのテストを再開した。
Branded Hospitalityの共同創業者、マイケル・シャッツバーグ氏は「企業も進化し、技術も進化しました。以前の問題の多くは解決できるようになったのです」と述べている。AIドライブスルーの導入は、ファストフード業界で再び加速しつつある。



