「ITか、水を止めるか」―「ブラック部署」と呼ばれた総社市上下水道課のDX
「ITか、水を止めるか」―総社市上下水道課のDX

「システムを導入するか水を止めるか、どちらかを選んでください」――。岡山県総社市の上下水道課は、かつて「町内一のブラック部署」と恐れられた。人口約3万人の同市は5年間で約10%減少、高齢化率は約45%に上る。上下水道課の技術職員もこの20年で約60%減少し、現場を回せる技術者はわずか3人。うち2人は配属1~2年目の若手で、熟練技術者は技術管理者の大橋直宏氏だけだった。

予算も人もない中の決断

技術者不足による過酷な勤務、休日や夜間を問わない現場対応――。業務過多に苦しむ中、大橋氏はIT活用に立った。市には予算も人員もなかったが、迫った現場の実情を上部部に伝え、予算を確保。電気設備工事事業者の明電テクノス(岡山市)とクラウドシステムの共同開発に乗り出した。

開発したクラウドシステムのコンセプトは「いつでも、どこでも、誰でも使える」というシンプルなもの。大橋氏は「正直、すごい機能は入らない。初心者でも使えることで、対応できる人の数を増やすことを目指しました」と話す。

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システムの具体的内容

従来は3つの町が合併した経緯から、別々のメーカーのシステムが混在。現場の状況確認だけでも、資格を持つ技術者が現地まで足を運ばなければならなかった。新システムでは、全てのデータをクラウドで一元化し、スマホやタブレットで確認可能に。水道メーターの位置や写真を登録し、初めてその家を訪れる人でもすぐに分かるようにした。また、施設への詳細なマップ機能も実装。作業手順書やトラブル対応手順は動画や写真付きでデジタル化し、直感的に操作できるデザインを追求した。

75%削減の成果

その結果、技術者の時間外対応を75%削減。かつて「ブラック部署」と呼ばれた上下水道課は今、異動希望者が出るほどに変わった。この取り組みは、日本DX大賞2026のラウンドテーブルで紹介された。

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