「何度も調べ直す」「毎回同じことで悩む」を解消 ChatGPTで“自分専用”のマニュアルを作る方法
ChatGPTで“自分専用”のマニュアルを作る方法

ビジネスパーソンを悩ませる「何度も調べ直す」「毎回同じことで悩む」といった無駄を解消するため、ChatGPTを使って自分専用の業務マニュアルを作成する手順を紹介する。ITジャーナリストの酒井麻里子氏が、プロンプトの書き方を伝授する。

仕事の内容をAIに伝える便利な方法

まずは普段自分がやっている仕事の流れを、思いつくままに書き出そう。この時点では、きれいに整える必要はない。順番通りでなくても、同じことが重複していても問題ない。

改めて書こうとすると手が止まってしまうという場合は、音声入力を活用するのも一つの方法だ。その仕事をしているときのことを思い返し、実況中継するようなイメージで話していくとよい。

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ただし、自分で書き出したものだけでは情報が足りないこともある。そこで、AIを使って不足しているところを見つけ、補足のための質問をしてもらおう。

実際のプロンプトは?

プロンプトでは、例えば「人向け研修事業についての、見積もり依頼対応のマニュアルを作りたいと思っています。私が普段やっていることを思いつくまま書き出したものと、関連資料を添付します。まずは、これらを読んだうえで、マニュアルを作るために足りない情報を質問してください。まだマニュアルは作らないでください。質問は重要性の高いものから5問程度に絞ってください。手順そのものより、判断基準(どういう場合にどう決めるか)が不明な点を優先してください。資料の中に、私の説明と食い違っている箇所があれば、それも指摘してください(メモや資料を添付する)」といった形で指示する。

次に、不足している情報についてAIから質問が返ってくるので、それに答えていく。自分で仕事内容を話したり資料をまとめたりするだけだと、どうしても抜け漏れが生じる。実際に業務を進めているときには忘れずにやっていることであっても、後から振り返ると頭から抜けてしまうことも多いためだ。

最初にこのプロセスを踏むことで、自分では気付けなかった手順や判断基準まで浮き彫りにされる。

AIからの質問

AIからの質問例として、メモと添付の「過去の見積もり例」「研修料金表」を突き合わせた結果、現時点では明確な基準というより、実際の見積金額を左右する判断基準がまだ言語化されていない箇所がいくつかあると指摘された。過去例でも、教材変更の程度によって追加料金0円/5万円と扱いが分かれている。

特に重要そうなものから、次の5点を教えてほしいと質問が来る。

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  1. 教材・研修内容の変更は、どこまでを「軽微な修正=追加料金なし」と判断しているか? 例えば「事例や会社名の差し替え」「一部の演習変更」「章の追加・削除」など、判断するときに見ているポイントがあれば教えてください。また、追加料金にする場合、料金表の「オリジナル教材作成 3万円〜」を、3万円・5万円などにどう振り分けていますか? 過去例では、B社は「自社事例への変更」で0円、C社は「約半分を独自内容に変更」で5万円となっています。
  2. 「急ぎ」の依頼について、通常料金・追加料金・対応不可をどう判断していますか? 料金表では「実施7日前以降の依頼は原則要相談」となっていますが、過去例のD社は依頼から6日後の実施でも、講師の予定を確認したうえで通常料金になっています。例えば「講師が空いていれば通常料金」「教材修正が必要なら追加」「前日なら原則追加料金」のような基準はありますか?

書き出した情報からマニュアルとカスタムGPTを作る

必要な情報が出そろったら、AIにマニュアルとしてまとめてもらう。ここでのポイントは、単に手順を説明するだけでなく、書き出した判断基準もしっかりマニュアルに織り込まれるようにすることだ。

プロンプトでは「ここまでの内容を踏まえて、業務マニュアルとしてまとめてください。手順をまとめるだけでなく、判断基準も具体的に記載してください。私の説明から読み取れない部分は、予測で補わずに『要確認』と記載してください」と指示する。

予測で勝手に情報を補わないように指示することも重要だ。手順にない情報が「それらしく」補足され、整ったマニュアルとして出力されると、本来は確認が必要な箇所がどこなのか見分けがつかなくなってしまう。まずは「要確認」状態で出力させ、そこを追加指示で埋めていくようにする。

カスタムGPTでさらに効率化

ここまでのプロセスで、業務の手順が「マニュアル」として可視化された。これだけでも、悩みはかなり減らせるはずだ。

さらに、この手順の中から自動化できる箇所を見つけ、カスタム指示まで作っておけば、より効率化できる。例えばChatGPTなら、カスタムGPTやプロジェクト機能を使う想定だ。

プロンプトでは「このマニュアルの手順の中に、カスタムGPTもしくはプロジェクトで自動化できる作業はありますか? ある場合は、対象となる作業とカスタム指示の文面を具体的に示してください」と指示する。

出力されたカスタム指示は、そのままカスタムGPTの「指示」欄などに貼り付けて使える。マニュアルを作る過程で自分の判断基準を言語化しているので、一般的な指示文より自分の仕事に沿った動きをしてくれるのが強みだ。

マニュアルがなくてもこなせている仕事の場合、改めて手順を書き出す機会はあまりないだろう。しかし、そういった仕事ほど、細かいところで判断に迷ったり、面倒で後回しにしたりしがちだ。自分のいつもの手順に特化したマニュアルがあれば、そういった悩みや取り掛かるまでの心理的なハードルも小さくできる。

当たり前にやっていることだからこそ、一度言葉にしてみることに意義がある。まずは「繰り返しやっているのに、毎回どこかで迷っている」仕事を一つ選び、その流れをAIに話すところから始めてみてほしい。