スピークバディ(東京)の英会話学習アプリは、旅行やビジネスなどの様々な場面で、キャラクターとの会話を楽しみながら英語を身につけることができる。生成AI(人工知能)を活用した「フリートーク」機能を追加するなどサービスを拡充し、2016年のリリース以降、累計ダウンロード数は500万を超えた。
キャラクターとの対話で実践的な英会話を学ぶ
スマートフォンやタブレット端末のアプリで配信されるレッスンは1回当たり15分程度。米ロサンゼルス出身のアシュリー、客室乗務員のエリカら見た目や出身地、性格など様々な個性を持つキャラクター「バディ」を相手に会話をする。バディは約50人。買い物や旅行、ビジネス会議など1000を超える様々なシーンに応じた対話を通じ、実践的な英会話を学ぶ。
「動詞の活用に気をつけよう」。AIの音声認識機能が発音やイントネーションの傾向を分析して改善点を指摘する。重要なフレーズは様々なシーンに自然に出現し、記憶への定着を促す。コンテンツの責任者、関根友理(41)は「バディはそれぞれ、利用者に合わせたストーリーを作り込んでおり『よく知っている相手』として会話に没入できる」と語る。
創業者の経験が土台に
創業者でCEO(最高経営責任者)を務める立石剛史(43)が30歳で起業した。新卒で入社した外資系証券会社の投資銀行部門や、その後、転じた日系証券会社の香港駐在で味わった苦い体験が、実践的なアプリ開発の土台となった。
入社前の英語能力試験「TOEIC」は、990点満点中280点。必死で学び、仕事を任される頃には日常会話レベルに達したとの感触はあった。だが、実践では通用しなかった。特に会食の場では、勉強したはずのビジネス英語にはない表現が飛び交った。勤務の傍ら、英語学習に約5000時間を費やし、現在、TOEICは満点、実用英語技能検定(英検)も1級に達した。この学習経験から、「日本の英語教育は単語や文法、英作文など読み書きでは優れていても、実際に会話してトレーニングする機会が少ない」との思いを強めた。
「英語を話せるようになるアプリで、社会にインパクトを与えたい」と起業を決意。昔から好きだったプログラミングを独学で学び直し、自らプログラミングしたアプリをベースに、「スピークバディ」を作り上げた。
生成AI機能と法人向けサービスを拡充
人間の講師と話す英会話教室では、拙い発音やイントネーションを恥ずかしがって発言が消極的になってしまう。学ぶ時間を決められるのも煩わしい。そんな自身の体験をもとに、アプリは場所や時間を問わずに学習でき、何度でも発音し直せるようにした。米オープンAIの「チャットGPT」など対話型の生成AIが一般に広がってきた23年、早速、オープンAIが提供する技術を活用した新機能「バディチャット」を追加した。学んだ言い回しを使いながらバディと自由な会話を楽しむ「フリートーク」により、成功体験を積み重ねることを狙った。
立石は「チャットGPTを相手に英会話を学ぶこともできるかもしれないが、続ける意欲を高めるゲーム性や、英会話専用に開発してきた正確性ではスピークバディが優位だ」とみる。法人向けサービスにも注力する。インバウンド対応が求められるホテルや鉄道会社のほか、海外進出を急ぐメーカーなどの研修需要を開拓した。立石は「リアルタイム翻訳などのツールは進化しているが、人が自分の口から伝える言葉には説得力がこもっているはずだ。日本企業が世界で活躍できるよう、サービスを更に充実させたい」と力を込める。
2013年に創業し、16年にAI英会話「スピークバディ」をリリースした。23年、優れたオンライン学習サービスを表彰する「日本eラーニング大賞」を受賞した。個人向けアプリの利用額は1か月3980円(税込み)など。社員研修用などに法人契約も伸ばしており、8月時点の契約数は京阪電気鉄道や京セラなど350社以上に上る。従業員は59人。本社は東京都中央区。



