トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、次世代通信規格「5G」を活用した自動運転技術の共同開発で基本合意した。両社は、高速で低遅延な5Gネットワークを活用し、遠隔監視や緊急時の遠隔制御を可能にするシステムの実用化を目指す。2028年までに技術を確立し、2030年以降の社会実装を計画している。
協業の背景と目的
自動運転技術の実用化には、車両センサーだけでは対応できない複雑な状況への対処が課題となっている。特に、交差点や悪天候時など、車載カメラやレーダーの認識が困難な場面では、外部からの支援が不可欠だ。トヨタとNTTは、5Gの高速・大容量・低遅延という特性を生かし、路側カメラや他の車両からの情報をリアルタイムで共有するシステムを構築する。
具体的には、NTTが持つ光ファイバーネットワークと5G基地局を活用し、車両とクラウド間の通信を安定化させる。トヨタは、自動運転制御ソフトウェアと車両側のインターフェースを開発する。両社は2024年から実証実験を開始し、2028年までにレベル4相当の自動運転(特定条件下での完全自動運転)を目指す。
5Gがもたらす自動運転の進化
現在、多くの自動運転技術は車載センサーに依存しているが、5G通信により「協調型自動運転」が可能になる。例えば、交差点で歩行者が飛び出した場合、路側カメラが検知し、5Gを通じて接近する車両に警告を送る。また、遠隔監視センターから緊急時に車両を停止させることもできる。
トヨタの自動運転開発責任者は、「5Gは自動運転の安全性を飛躍的に高める。特に、見通しの悪い交差点や悪天候時など、センサーだけでは限界があるシーンで効果を発揮する」と述べている。NTT側も、「通信インフラと自動車の融合は、新たなモビリティ社会の基盤となる」とコメントしている。
競合他社との差別化
自動運転分野では、グーグル傘下のウェイモや中国の百度などが先行しているが、トヨタとNTTは通信技術と自動車製造の両面で強みを持つ。特に、NTTの全国規模の光ファイバーネットワークは、安定した通信を提供できる点で優位性がある。また、トヨタは量産技術と安全設計のノウハウを生かし、コスト競争力のあるシステムを目指す。
両社は、自動運転に必要なデータ通信量が増大することを見据え、5Gのさらなる高速化やエッジコンピューティングの導入も検討する。2025年の大阪・関西万博では、試験的なサービスを提供する計画だ。
今後の展開と課題
実用化には、法規制の整備やサイバーセキュリティ対策が不可欠だ。また、5Gのカバレッジ拡大や、通信障害時のバックアップシステムも必要となる。トヨタとNTTは、関係省庁や自治体と連携し、実証実験を通じて課題を洗い出す方針だ。
2028年の技術確立後、まずはタクシーやバスなどの公共交通機関への導入を想定している。その後、一般車両への展開を目指す。両社の協業は、日本の自動運転技術の国際競争力を高める起爆剤となる可能性がある。



