NTTドコモは、2024年度までに5Gの人口カバー率90%を達成する目標を掲げ、エリア展開を加速している。同社は現在、3.7GHz帯を中心に基地局を整備しているが、新たに4.5GHz帯や28GHz帯(ミリ波)の活用も進め、都市部だけでなく地方部でも高速通信を提供できる体制を整える。
既存周波数帯の課題と新たな戦略
従来の5Gサービスは主に3.7GHz帯を使用してきたが、この周波数帯は広範囲をカバーできる一方で、建物の影などに弱く、屋内での利用に課題があった。ドコモはこの課題を解決するため、より高い周波数である4.5GHz帯と28GHz帯を導入。特に28GHz帯は超高速通信が可能で、スタジアムや商業施設など人が密集する場所での需要に応える。
さらに、ドコモは既存の4G基地局を活用した「NSA(Non-Standalone)」方式から、5G単独で動作する「SA(Standalone)」方式への移行も進めている。SA方式は遅延が少なく、多数のデバイスを同時接続できるため、自動運転や遠隔医療など産業用途での活用が期待される。
エリア拡大の具体的な成果
ドコモは2023年度末時点で、全国の人口カバー率を約85%まで高めた。2024年度中に残る5%をカバーするため、地方都市や山間部、離島などへの基地局設置を積極的に進める。同社の担当者は「5Gは社会インフラとして不可欠。地方創生にも貢献したい」と述べている。
また、ドコモは2024年夏までに、全国の主要駅や空港、商業施設など約1万か所に28GHz帯の基地局を設置する計画。これにより、混雑時の通信速度低下を緩和し、動画配信やVR体験など高帯域サービスを快適に利用できる環境を整える。
競合他社との差別化
KDDIやソフトバンクも5Gエリア拡大を進める中、ドコモは総務省が割り当てた周波数帯のうち、28GHz帯を最も多く保有している点が強みだ。ミリ波はカバー範囲が狭いものの、超高速通信が可能で、ドコモはこれを生かした独自サービスを展開する方針。例えば、2024年春には東京・大阪の一部エリアで、ミリ波を活用した8Kライブ配信の実証実験を開始する。
一方、地方部ではコスト効率の高い3.7GHz帯と4.5GHz帯の組み合わせでカバー率を向上。ドコモは基地局の小型化や省電力化技術も導入し、運用コストを抑えながらエリア拡大を図る。
今後の展望
ドコモは2025年度以降、6Gを見据えた技術開発も並行して進める。5Gの人口カバー率100%達成は時期を明言していないが、2026年度までには達成する見通し。同社は「5Gの恩恵を全国民に届ける」としている。
携帯各社の5G投資は今後も続くが、収益化が課題だ。ドコモは法人向けソリューションと連携し、5Gの需要創出を図る。例えば、工場の自動化やスマート農業など、産業分野での5G活用を推進することで、投資回収を目指す。



