NTT(日本電信電話)とKDDIは、5G(第5世代移動通信システム)の基地局を相互に利用することで基本合意した。両社が持つ基地局設備を共有し、通信費の削減とサービスエリアの拡大を狙う。2026年度までに全国で約1万局の共有を目指す。
基地局共有の背景と目的
5Gは高速大容量通信を実現する一方、基地局の設置コストが高く、通信事業者の負担が大きい。総務省の「令和4年度 電気通信事業分野における競争状況の評価」によると、5G基地局の1局あたりの建設費は約500万~1000万円とされる。両社は設備を共有することで、投資効率を高め、5Gエリアの早期拡大を図る。
NTTとKDDIは、これまでも一部地域で基地局の共同利用を進めてきた。今回の合意は、全国規模での協業に発展させるものだ。対象は、NTTグループのNTTドコモとKDDIがそれぞれ保有する5G基地局で、双方の設備を相互に使用できるようにする。
協業の具体的なスキーム
両社は、基地局の設置場所やアンテナ、電源設備などを共有する。具体的には、NTTドコモとKDDIがそれぞれ建設した基地局の空きスペースに、相手方の通信設備を設置する形を取る。これにより、新たな基地局建設の手間を省き、早期にエリアを拡大できる。
2026年度までに、全国で約1万局の基地局共有を目指す。これは、両社が現在展開する5G基地局の約1割に相当する。NTTドコモは2024年3月末時点で約5万局、KDDIは約4万局の5G基地局を保有している。
NTTの澤田純社長は「インフラシェアリングによるコスト削減と、エリア拡大のスピードアップが期待できる」と述べている。KDDIの髙橋誠社長も「両社の強みを活かし、より効率的なネットワーク構築を進めたい」とコメントした。
業界への影響と今後の展開
今回の協業は、通信業界全体に波及する可能性がある。ソフトバンクや楽天モバイルなど、他の通信事業者も基地局共有の動きを加速させるかもしれない。総務省は、インフラシェアリングを促進する方針で、2023年には「電気通信事業法」の改正により、設備共有の円滑化を図っている。
一方で、競争環境への影響も懸念される。NTTとKDDIは、5G市場で首位を争うライバル同士だが、インフラ面での協業が競争を弱める可能性も指摘されている。公正取引委員会は、独占禁止法の観点から、今回の協業が市場競争に与える影響を注視する必要がある。
両社は、2025年度中に詳細な協業計画を策定し、2026年度からの本格運用を目指す。5Gの普及が進む中、基地局共有によるコスト削減とエリア拡大が、今後の通信サービスの品質向上につながることが期待される。



