総務省の発表によると、2024年度末までに全国の5G人口カバー率は90%を超える見通しだ。しかし、エリア外の工場や倉庫などでは、高速・大容量・低遅延の通信を必要とする業務に課題が残る。そこで注目されているのが、企業や自治体が自らの敷地内に構築できる「ローカル5G」だ。
ローカル5Gとは何か
ローカル5Gは、携帯電話事業者が提供する公共の5Gネットワークとは別に、企業や自治体が自らの用途に合わせて免許を取得し、自前で基地局を設置して運用するプライベートネットワークである。総務省は2020年12月からローカル5Gの免許制度を開始し、以降、導入事例が増加している。
例えば、製造業では工场内の無線化による生産ラインの柔軟な変更、農業ではドローンによる農薬散布の自動化、建設現場では遠隔操作による重機の運用など、様々な分野での活用が期待されている。
導入のメリット
ローカル5Gの最大のメリットは、自社のニーズに合わせたネットワークを構築できる点だ。通信の遅延を極限まで抑えたい、セキュリティを高めたい、特定のエリアで安定した通信を確保したいといった要求に応えられる。
また、長期的には通信コストの削減にもつながる。携帯キャリアの月額料金に依存せず、一度設備投資を行えば、以降は運用コストのみで済むため、大規模な拠点を持つ企業ほど経済的メリットが大きい。
導入の課題
一方で、導入にはいくつかの課題がある。まず、基地局の設置やネットワーク設計には専門知識が必要であり、初期投資が数百万円から数千万円と高額になる。また、免許取得には総務省への申請手続きが必要で、審査に時間がかかる場合もある。
さらに、ローカル5Gはあくまで自社敷地内での利用が前提であり、広域での移動通信には対応できない。そのため、公共の5Gネットワークとの併用が不可欠だ。
今後の展望
総務省はローカル5Gの普及を後押しするため、免許申請の手続き簡素化や、導入支援補助金の拡充を進めている。2024年度予算では、ローカル5G関連の補助金として約50億円が計上された。
専門家は「ローカル5Gは、特に製造業や物流業界での需要が高まると予想される。5Gの本格普及に伴い、企業の競争力強化につながる重要なインフラとなるだろう」と指摘する。



