総務省は、携帯電話各社が整備を進める第5世代移動通信システム(5G)の基地局について、出力規制を緩和する方針を固めた。これにより、携帯各社はより少ない基地局数で広範囲をカバーできるようになり、設備投資の負担軽減につながる。2025年度中の制度改正を目指す。
規制緩和の背景と目的
5Gは高速・大容量通信が可能な一方で、4Gと比べて電波の届く範囲が狭いため、多くの基地局を設置する必要がある。携帯各社は全国に5G基地局を展開するために巨額の投資を強いられており、総務省はこの負担を軽減するために出力規制の緩和を検討してきた。現行の規制では、人体への影響を考慮して電波の強さに上限が設けられているが、緩和後は一定の条件下で出力を引き上げることが可能になる。
具体的な規制緩和の内容
総務省は、基地局から発射される電波の強さについて、現行の基準を最大で2倍に引き上げる案を軸に調整している。ただし、すべての基地局で一律に緩和するのではなく、周辺に住宅が少ない地域や、高所作に設置する場合など、人体への影響が限定的なケースに限定する方針。また、出力を上げた場合の電波干渉を防ぐため、携帯各社には周波数調整などの対策を求める。
携帯各社への影響
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯4社は、5G基地局の整備を積極的に進めているが、2023年度末時点での全国の5G基地局数は約10万局にとどまる。出力規制の緩和により、各社は同じカバレッジを得るために必要な基地局数を減らせるため、設備投資の効率化が期待される。総務省の試算では、規制緩和により携帯各社の基地局建設コストが最大で2割削減できるという。
今後のスケジュール
総務省は2024年度中に有識者会議を設置し、技術的な検討を進める。その結果を踏まえて、2025年度中に電波法の省令を改正する見通し。また、国際的な基準との整合性も考慮し、他国の事例も参考にしながら制度設計を進める方針だ。



