日本の5G(第5世代移動通信システム)の基地局開設が計画を大幅に下回っていることが、総務省の調査で明らかになった。2024年3月末時点での開設数は約4万局と、当初目標の半分程度にとどまっている。この状況は、日本のデジタル競争力に深刻な影響を及ぼす可能性がある。
開設遅延の背景
総務省の担当者は「基地局の開設が遅れている主な要因は、半導体不足や工事用部材の調達難、そして自治体との調整に時間を要していることだ」と説明する。特に、地方部での基地局開設が遅れており、都市部と地方のデジタル格差が拡大する懸念がある。
世界との比較
国際的な通信業界団体の調査によると、日本の5G人口カバー率は約60%で、韓国の90%以上、米国の80%以上に大きく劣る。世界経済フォーラムの「ネットワークレディネス指数」でも、日本は2023年に前年から順位を落とし、デジタル競争力の低下が顕著になっている。
産業への影響
5Gの遅れは、自動運転やスマート工場、遠隔医療など、次世代技術の実用化にも悪影響を及ぼす。ある大手電機メーカーの担当者は「5Gの高速・大容量通信を前提とした製品開発に支障が出ている。海外ではすでに商用サービスが始まっている分野でも、日本では試験段階にとどまっている」と語る。
政府の対応
政府は2025年度までに全国の基地局数を12万局に増やす目標を掲げているが、現状のペースでは達成が困難と見られる。総務省は、周波数割り当ての弾力化や補助金拡充などの対策を検討しているが、効果は未知数だ。
今後の展望
専門家からは、基地局開設の加速には、規制緩和とともに、通信事業者間のインフラ共有を促進する必要があるとの指摘が出ている。また、6G時代を見据えた長期的な戦略も求められる。日本のデジタル競争力の行方は、5Gインフラ整備の成否にかかっていると言える。



