法医学者が解説:ゴルフ場で突然死する働き盛りの男性、その原因と予防策
ゴルフ突然死の実態と予防法

ゴルフは「紳士のスポーツ」として親しまれ、年配者を中心に人気が高い。しかし、その一方でゴルフ中の突然死が少なくない。特に60歳以上が多いものの、40代・50代の働き盛りの男性も例外ではない。法医学者の高木徹也氏は、実際に解剖した45歳男性の事例をもとに、ゴルフ中の突然死のメカニズムと予防策を解説する。

突然死のリスクが高い「ゴルフ」

緑あふれる広大なコースを歩き、気の置けない仲間と楽しむゴルフは格別だ。高木氏も一時期、大学ゴルフ部の顧問を務めていたという。しかし、プレーヤーの半数は60歳以上が占めており、プレー中の突然死も60歳以上に多い。ただし、若くても安心はできない。突然死の危険度は60歳以上で急激に高くなるが、40歳以上から発生している。

最も多い死因は、心筋梗塞に代表される「虚血性心疾患」だ。心臓の血管の動脈硬化によって血流が止まり、心臓に酸素や栄養が行き渡らなくなり、短時間で心臓が停止する。高木氏は「日々運ばれてくるご遺体を解剖していると、20代でもうっすらと動脈硬化が始まっている人がいる」と指摘する。そのような人が生活習慣を改善しないまま40代になり、普段運動をしないのに急にゴルフをすると、若くても心血管疾患を引き起こす可能性がある。

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45歳男性の突然死:なぜゴルフ中に心筋梗塞を起こしたのか?

坂本慎一さん(45歳・仮名)は、ある早朝、仲間とゴルフに出かけた。早起きしてのゴルフは、彼にとって楽しみの一つだった。ところが、ボールを探すために仲間から離れた場所で倒れているのが発見された。救急搬送されたが、すでに心肺停止状態で、帰らぬ人となった。

解剖の結果、坂本さんの心臓は黄色く変色し、まるで牛の心臓のように肥大していた。冠動脈は高度に狭窄し、新鮮な血栓が詰まっていた。高木氏は「まさに典型的な心筋梗塞の所見。彼は自覚症状がなかったかもしれないが、かなり進行した動脈硬化があった」と語る。普段、運動習慣がなく、仕事はデスクワーク中心。休日に急に激しい運動をすることで、心臓に過度な負荷がかかったと推測される。

早起きゴルフに潜む危険

早起きしてのゴルフは、特に注意が必要だ。早朝は血圧が上昇しやすく、血管が収縮しているため、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる。さらに、睡眠不足や朝食を抜くことも、体に負担をかける。高木氏は「早起きゴルフの前に、しっかりと準備運動と水分補給をし、体を起こすことが大切」と強調する。

また、プレー中に飲酒する人もいるが、これも危険だ。アルコールは血圧を変動させ、心臓に負担をかける。高木氏は「飲み放題なんて言語道断。ゴルフ中の突然死を防ぐためには、適度な運動習慣と定期的な健康診断が欠かせない」と訴える。

事故死のリスクも高い

ゴルフ場では、突然死だけでなく、事故死のリスクも存在する。例えば、ゴルフカートの転倒やスイング中のクラブが当たる事故など。しかし、最も多いのは心疾患による突然死だ。高木氏は「ゴルフは穏やかなスポーツに見えるが、実は心臓に大きな負荷がかかる。特に、普段運動しない中高年は要注意」と警告する。

『スポーツ種目別の相対的急死危険率』(河合祥雄、順天堂醫事雑誌第49巻3号)によると、ゴルフ中の急死危険率は他のスポーツと比べて高いわけではないが、プレーヤーの年齢層が高いため、絶対数としては多い。したがって、ゴルフを楽しむためには、日頃からの健康管理が重要だ。

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突然死を防ぐために

突然死を防ぐためには、まず定期的な健康診断を受け、自分の体の状態を知ること。特に、血圧、血糖値、コレステロール値をチェックし、動脈硬化のリスクを把握する。そして、普段から適度な運動を習慣化し、急に激しい運動をするのではなく、徐々に体を慣らすことが大切だ。

また、ゴルフ前日は十分な睡眠を取り、当日は朝食をしっかり摂る。準備運動を入念に行い、こまめに水分補給をする。体調が優れない時は無理をせず、プレーを控える勇気も必要だ。高木氏は「ゴルフは長く楽しむスポーツ。突然死を防ぎ、安全にプレーするために、自分の体と向き合ってほしい」と締めくくった。