熊本県で7月に最大震度7を観測した地震は、28日に発災から1カ月となる。猛暑の中、被災地では建物の解体やがれきの撤去が少しずつ進むが、今も避難所や自宅の倉庫などで暮らす人が少なくない。
解体作業と熱中症対策
多くの家屋が全壊するなど大きな被害を受けた同県八代市鏡町では、解体作業が進められていた。宇土市の解体業アルバイト、垣原太陽さん(18)は「普通の解体と違って、被災家屋の解体は足場が悪くて危ないです」と話す。暑さ対策のためファン付きウエアを身につけ、こまめな休憩と水分補給を心がけている。
地元で解体や土木業などを営む桑原孝尚さん(49)は「公費で解体される前に『隣近所に迷惑をかけたくない』という理由で自腹で解体する方がいらっしゃるんですよ」と説明する。また「建物の中での作業は、マスクさせなきゃいけない。休憩させながら、従業員が熱中症にならないようにしています」と話した。
避難所での生活
近くの鏡川には、崩れ落ちた建物のがれきが残り、重機を使った撤去作業が続いていた。自宅を失った人たちの避難生活も1カ月がたとうとしている。熊本市南区の「火の君文化センター」には25日現在、約70人が身を寄せている。
介護職の高宮千鶴子さん(80)は築40年ほどの自宅が傾き、中に入るのが困難に。同居する弟(74)、地震の直前に亡くなった母親のお骨とともに同センターに避難してきた。仕事は続けており、避難所から通勤しているという。地震発生当時は自宅におり、強い揺れの最中は必死に柱にしがみついた。「(10年前の地震と比べて)今回はひどかった」と振り返る。自宅は取り壊すことに決め、仮設住宅への入居を希望しており、「抽選通ればいいなあ」と期待を込めた。
それぞれの選択
同じく仮設住宅への入居を希望する西野チエ子さん(85)も、自宅の壁が落ちるなど住めない状況になり、解体する予定だ。「もう揺れた揺れた。玄関まで見えてるのにね、体が全然動かなかった」。ボランティアとともに自宅の片付け作業中、階段を踏み外して膝をケガしてしまったという。それでも「カラ元気でもせんとね、やっていかれんもん。くよくよしたって仕方ないもんね」と気丈に語った。
自宅が全壊の認定を受けても避難所に行かず、自宅周辺にとどまる人もいる。同県氷川町の伊藤三憲さん(70)は自宅前の倉庫で寝泊まりしており、テレビを見るときと涼むときだけ車で過ごすという。「もう1カ月たつとですね。今まで何ばしよっとか覚えとらんです」と話す。自宅の片づけをボランティアが担ってくれたといい、「助かりました。全部片づけてくれて。涙が出てくる。感謝感激です」と振り返った。9月からは同県宇城市内に借りたアパートに住む予定だ。「疲れがたまっとるとです。この生活は1カ月が限界。これ以上は命に関わりますね」と語った。
地震後に爆発事故が起きた同県嘉島町の商業施設「イオンモール熊本」の駐車場入り口には献花台が設置され、25日夕もたくさんの花や菓子、飲料、メッセージなどが供えられ、犠牲者を悼んでいた。



