「この問題、わかりません」と聞く子は成績が伸びない――。東大合格者を多数輩出してきた教育現場の知見から、学力向上に欠かせない「質問力」の重要性が浮き彫りになっている。生まれつきの才能ではなく、正しい質問の仕方こそが逆転合格への道を開くという。
「わからない」にも質の違いがある
同じ「わからない」でも、情報量がまったく違う。伸びる子は、「どこまでわかって、どこからわからないのか」という境界線を自分で言語化できる。例えば「解説のこの一文が、自分にとっては飛躍して見える」とピンポイントで指摘できるのだ。
これは、自分の理解度を客観的にモニタリングできている証拠。教育学では「メタ認知」と呼ばれる能力であり、これこそが学力の伸びを支える土台となる。
さらに上の質問力とは
そして、もう一段階上の質問力を持つ子がいる。それは、「自分自身についての情報」をセットで伝えられる子だ。
「僕は普段、図形問題で補助線を引くタイミングを見つけるのが苦手で、今回も最初は座標を設定して計算で押し切ろうとして、途中で詰まってしまいました。こういう、計算で押すか図形的に処理するかの判断を、いつも間違えてしまうことが多いんです」
こう聞かれたら、教える側としては「あ、この子は計算と図形の使い分けで毎回つまずいているのだな」と一発でわかる。だから、目の前の一問だけでなく、その子の根本的な弱点に踏み込んだアドバイスができる。
つまり、「問題についての具体性」と「自分についての具体性」、この2つをセットで伝えられる子が、もっとも学力が伸びやすいのだ。
生成AIへの質問も同じ
この「質問力」は、生成AIを使うときにもまったく同じことが言える。最近の東大生は生成AIを勉強に活用することが増えているが、彼らは次のように質問する傾向がある。
「僕は今、中学3年生で、二次方程式の判別式までは習いました。だけど、平方完成の計算でいつもケアレスミスをしてしまいます。次の問題の解き方を教えてほしいのですが――」
このように、自分の状況や弱点を具体的に伝えることで、AIから的確なアドバイスを得られる。逆に、漠然とした質問では期待する答えは返ってこない。
一方、伸び悩む子は「わかりません」とだけ言い、具体的な情報を欠いている。質問力の差が、その後の学力の伸びを大きく左右するのだ。



