不登校の子を登校に導く二重三重の工夫、文科省認定「学びの多様化学校」東京みらい中学校の取り組み
不登校の子を登校に導く工夫 東京みらい中学校

東京都足立区にある東京みらい中学校(写真:筆者撮影)は、文部科学省が認定する「学びの多様化学校」として、不登校の子どもたちを学校へと導くための独自の取り組みを展開している。同校は、通信制ではなく、あえて中学校としての枠組みを維持しながら、学習指導要領の柔軟な運用を活用し、生徒一人ひとりの状況に寄り添った教育環境を提供している。

始業時間の遅延と授業時数の短縮

同校の特徴的な取り組みの一つが、始業時間を通常の学校より遅く設定している点だ。朝の登校時間に負担を感じる生徒が多いことを考慮し、ゆっくりと学校生活を始められるようにしている。定野氏(校長)は、「登校時間をゆっくりできるのは、学習指導要領で定められた標準授業時数の1015コマ(単位時間)が、学びの多様化学校では775コマに短縮することが認められているからです。私はもっと少なくてもいいと思っていますけどね」と説明する。

授業時数が少ないため、始業時間が遅くなっても、その分だけ就業時間が遅くなることはない。1日の授業時数は最大でも5時限目までであり、学校で過ごす時間の長さに負担を感じる生徒への配慮がなされている。これにより、不登校の原因の一つである「学校にいる時間が長い」というストレスを軽減している。

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月曜朝の「Choiceタイム」で登校意欲を喚起

さらに、月曜日の1時限目には「Choice(チョイス)タイム」が設けられている。この時間について、主幹教諭の室町翔馬氏は次のように語る。「月曜の朝というのは、子どもも大人もいちばんつらい時間で、『学校に行きたくない』と思いがちです。それに負けないために、『学校に行きたい』と思える時間にしています。いわゆる教員、当校では『スタッフ』と呼んでいますが、スタッフの趣味や特技を生かしながらの選択授業です」

具体的には、ドローンの操縦体験や、音符の形をした電子楽器「オタマトーン」の演奏練習など、生徒が興味を持てるアクティビティが用意されている。室町氏自身が担当した際には、自分の趣味である百人一首に取り組んだという。生徒はこれらの活動から自分で選んで参加するため、自然と学校に行くモチベーションが高まる仕組みだ。

独自教科「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」

楽しい活動だけでなく、学びにも力を入れている。同校では、独自教科として「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」を設け、人間関係の構築やコミュニケーション能力の向上を図っている。不登校の背景には友人関係の悩みがあるケースも多く、そうしたスキルを学校で学ぶことで、再び集団生活に適応できるよう支援している。

不登校の理由はさまざまだが、友達が原因の場合も少なくない。そういう子に会えば不愉快な気持ちを思い出し、登校の時間が気の重いものになり、それが不登校になったりしかねない。そうした懸念のないような登校時間になっているのだ。

二重三重の工夫で登校をサポート

これらの取り組みは、単なる楽しい時間の提供にとどまらず、不登校の根本的な原因に対処するための二重三重の工夫として機能している。始業時間の遅延、授業時数の短縮、月曜朝の選択授業、そしてSSTの導入により、生徒が無理なく学校に通える環境を整えている。同校の取り組みは、不登校問題に対する新たなモデルとして注目される。

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