不登校から登校へ導く「学びの多様化学校」の挑戦:東京みらい中学校の二重三重の工夫
不登校から登校へ導く学びの多様化学校の挑戦

下駄箱がない学校:不登校生徒への配慮

東京都足立区にある東京みらい中学校(以下、みらい中学)は、2024年4月に私立の「学びの多様化学校」として開校した。校長の定野司氏は、「不登校生徒のための中学校をつくりたいと東京都に話したら、『不登校なんだから通えないでしょう』と言われた」と振り返る。それが7年前のことだ。

学びの多様化学校は、かつて「不登校特例校」と呼ばれ、不登校児童生徒に配慮した特別の教育課程を編成できる特例が認められた学校である。文部科学省は全国に300校設置(2026年時点で84校)を目標とするが、定野氏は「容れ物をつくっても児童生徒が通わなければ意味がない。発想の転換が必要だった」と語る。

始業時間を9時30分に:月曜朝のつらさへの理解

みらい中学では、始業時間を一般的な8時30分から9時30分に繰り下げた。定野氏は「月曜の朝は子どもも大人もつらい。不登校傾向の生徒にはなおさらだ」と説明する。この工夫により、登校への心理的ハードルを下げている。

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さらに、学校には「下駄箱」がない。不登校経験のある生徒の中には、靴を履き替える動作自体がストレスになる場合があるためだ。こうした細かな配慮が随所に施されている。

独自教科「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」

みらい中学では、通常の教科学習に加え、独自教科として「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」を設けている。これは、対人関係やコミュニケーション能力を育むための授業で、不登校の背景にある社会的スキルの不足に対応する。

教科学習は、学習指導要領に基づきながらも、個々のペースに合わせた柔軟なカリキュラムを採用。通信制ではなく、対面での学びを重視する理由について、定野氏は「学校という場で人との関わりを取り戻すことが重要」と語る。

なぜ通信制ではなく「学びの多様化学校」なのか

通信制学校は時間や場所の制約が少ないが、みらい中学はあえて対面型の学校を選んだ。定野氏は「不登校の子どもは、学校に行けないのではなく、行く理由が見つけられないだけ。学校が変われば通えるようになる」と強調する。学びの多様化学校は、不登校生徒が再び学校に足を向けるための「第三の選択肢」として機能する。

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