不登校の子を登校に導く工夫、下駄箱廃止や始業時間変更など文科省認定「学びの多様化学校」の実践
不登校の子を登校に導く工夫、下駄箱廃止や始業時間変更

東京都足立区にある東京みらい中学校は、文科省認定の「学びの多様化学校」として、不登校の子どもたちを学校に呼び戻すための独自の取り組みを展開している。同校の定野司校長(元足立区教育長)は、「今まで不登校については、学校に来ない子どもたちが悪いという発想でした。そうではなくて、『学校が悪い』という発想から始めれば、学校がやれることはたくさんあります」と語る。教育長経験者からのこの発言は、従来の考え方からの大きな転換を示している。

下駄箱をなくし、リラックスできる空間に

東京みらい中学校の玄関には、一般的な公立中学校にある「下駄箱」がない。代わりに本棚が設置され、椅子も置かれている。定野氏は「玄関で気づきませんでしたか」と問いかけるが、筆者は気づかなかった。下駄箱は、上履きの盗難や悪質な手紙の投げ込みなどトラブルの原因になることが多いため、撤去したという。「上履きに名前を書かせたり、誰が盗ったのかと犯人捜しに一生懸命にならなければならないこともある。そういうことをするくらいなら、原因となる下駄箱をなくしてしまえばいい」と定野氏は説明する。

玄関ホールは、生徒が気軽に本を手に取ってくつろげるスペースとなっており、各階の廊下にも同様のスペースが設けられている。校内全体で7400冊を超える本が置かれ、生徒がリラックスできる環境を整えている。学校のエントランスや廊下が、監視される場所からリラックスする場に変わることで、生徒が学校に行きたいと思えるように配慮している。

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始業時間を1時間遅らせた深い理由

同校の始業時間は午前9時30分で、一般的な公立中学校の8時30分より1時間遅い。これには、不登校の生徒が他の学校の生徒と顔を合わせるリスクを避ける意図がある。同じ登校時間だと、小学校時代の知り合いと遭遇する可能性が高く、それが登校の障壁になることを防ぐためだ。また、月曜の朝は子どもも大人もつらいという現実を考慮し、始業時間を遅くすることで心理的な負担を軽減している。

通信制ではなく「学びの多様化学校」を選択

東京みらい中学校は、通信制ではなく、文科省が認定する「学びの多様化学校」(いわゆる不登校特例校)として運営されている。通常の公立中学校と同じく、卒業時には中学校卒業資格が得られる。定野氏は「不登校の子どもたちが学校に来られるようにするためには、学校側が変わる必要がある」と強調する。同校の取り組みは、発想の転換によって学校を変える具体的な事例として注目されている。

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